少しの間、ブログをお休みしていましたので、話題をビザや仕事から少し変えたいと思います。
ということで、今回はアメリカでのご近所付き合いについて私の経験談を話したいと思います。
まず、当然ながら、どういう住宅に住んでいるかや、住んでいる地域や周りの所得帯によって全然違ってきますので、そこら辺は個人差があるという前提でご理解ください。日本でも同じことですね。
私の住む地域は、ミシガンというアメリカでも地価が比較的安い中西部に位置しており、しかも都心のデトロイトの中心地から1時間弱くらい車で離れたところなので、治安は全米の平均かそれより少し良い方だと思います。それでも最近はたまに隣町に空き巣が入ったとかいう話を聞きますので、悪い人はどこへでも出張してくるんだという警戒心は決して緩めてはいけない地域だと思います。
皆さんご存知の通り、全米では銃の所有が認められています。これはアメリカ合衆国の憲法で保障された個人の権利ですので、憲法改正をしない限り、いくら銃規制を訴えても変わることはないでしょう。しかも、銃というのは相手を殺傷することができる反面、自分を守ることもできるわけです。例えば、ある日、我が家にいる時に突然強盗が押しかけてきて、銃を突きつけられた場合、家主も銃を所有していなければ殺されるしか選択肢は無くなってしまうので、私は個人的に良人が銃を所有することは反対ではありません。かと言って、開けっ広げに見せ付けるように銃を所持するのは(オープンキャリーという行為)どうかなと思います。このオープンキャリーが認められているかどうかは州法によって決められており、ミシガン州はオープンキャリーが認めれれている州のうちの一つです。ただし、ピストルを含むハンドガンについてはミシガンは規制が厳しいので、ライセンスをとって登録税を払う必要があります。ライフルやショットガンのような長い銃はハンティングを推奨している州だけあって、年齢以外ほぼ規制がありません。しかし、実際、近所でオープンキャリーをしている人を見かけることはほぼありません。
今まで、一度だけ、ハンティングが解禁中(ミシガンでは11月から冬の間は狩猟が解禁になります)に、うちの裏側のお隣さんは10エーカーほどあるだだっ広い土地を所有しており(うちは3エーカー)、そこに友人と思われる人がハンティングをしていて、討ちとめた鳥が我が家の敷地内に落ちたのか、ライフルを肩にかけたままうちの裏庭を小走りで駆け抜けていったのを目撃したときは驚きましたが。これが、ミシガンに住んで16年ほどでオープンキャリーをしている人を見た唯一の経験でした。
ということで、ミシガンに住んでいるほとんどの人は他人には言わないけど、銃を密かに所持している場合が多いと思います。自ら自分は銃を所有しているという人は少数派ですが、家に銃を所有しているか聞けば正直に答えてくれるアメリカ人がほとんどだと思います。
私の片方のお隣さんは、その少数派で、しょっちゅう自分の所有している銃の種類やいつ庭で銃の練習をしたか(するか)など、自慢気に話します。最初は流石に”怖いな、大丈夫かこの人?!”と思っていましたが、よく知った仲になってからは、”またこの話か”くらいに受け取っています。それどころか、このお隣さんは退職者で毎日ほぼ一日中在宅なので、うちらの住宅街(とは言ってもうちを含めて3軒しかないサブディビジョンだけど)の守衛をしてもらっているようなものと受け取っています。実際に、このご主人は(60代後半の白人)、今日はどんな人がうちらのサブティビジョンにやってきたかや怪しい人がうちらの私道へやってきたから注意するようにとか、向こう隣のどの家の人はどういう人物かなど、いろいろ近隣の情報を教えてくれ、たまに最近の地域で発生した事件や業者や店の話や家の修理の話やら、結構ためになる情報をくれるので、よく立ち話をしています。
上記のように、比較的、私は近所付き合いはしている方だと思います。逆に、街中ではなく郊外に住んで、あまり近所付き合いしない人は怪しがられるのがアメリカ社会だと思います。これは一軒家に住もうが、アパートなどの集合住宅に住もうが、変わりはないと思います。流石に、NYのマンハッタンのような、超人口過密地域で、しかも入り口に守衛が常駐しているような集合住宅に住んでいる場合は例外だとは思いますが・・・。様々な民族や人種が入り混じったアメリカ社会だから余計に近所の住人の人物像を知るということが重要なのかもしれませんね。
アメリカ社会では日本によくありがちな”共通の常識”や”以心伝心”的なものが通用しません。お互い話さないと理解することがあり得ないのです。
そういう意味で、新しい家に引っ越ししたら、日本以上にご近所へ回って自己紹介して小話をするということをなるべく早い時期にすることが重要になると思います。こういう意味でもやはり英語でのコミュニケーション能力というのは重要になってくると思います。
また、アメリカの多くの住宅街ではHOA(Home Owners Association)と呼ばれる自治会的なグループがあるサブティビジョンが多いですが、これが日本の自治会以上に厄介になる場合が多いです。ちなみに、うちは3軒しかないサブティビジョンなので、このHOAがありません。家を買う前にわざとHOAがないサブディビジョンを探しました。
なぜ、HOAが厄介かというと、まず、年会費が結構高い場合が多いです。もちろん住む地域にもよりますが、うちが住む地域ではおそらく年に$500は下らないと思います。これはサブティビジョンの大きさや住人の数によってまちまちですので、あまりこの数字はあてにはなりませんが・・・。HOA費はアパートやコンドなどの集合住宅でもあります。月の家賃に含まれている場合が多いですが、集合住宅はほぼ全てHOA費があると思って良いでしょう。
HOAのある住宅では、月一で会議があり、サブティビジョン内の道路の舗装や芝の管理などの話と、あとは誰の家のドライブウェイ(車付する各敷地内の道)に雑草が生えているので除草するように通達をしようとか、庭の草木がちゃんと手入れされていないので通達をしようとか、誰々の庭に落ち葉が溜まっているので通達しようとか、芝の管理が杜撰だから注意しようとか、誰々の家の外壁がちょっと傷んでいるので修理を要求しようとか・・・はっきり言って、近所の悪口や個人の自由の侵害になり得ることを言い合うことが多いようです。この”通達”というのも結構厳しいことが多く、期限が付けられていて、その日までに言われた通りにしなければ、罰金が課せられたりする所もあるようです。なぜ、ここまで厳しくするかというと、近所のある家の庭の管理や道路の管理が杜撰だとその家の価値が下がってしまうだけでなく、同じサブティビジョン内の別の家の価値も連動して下がってしまうからです。つまり、お金(資産価値)の問題なんですね。
もちろん、HOAがあるということは、お互いに治安の維持に努めていることにもなるので、良い相乗効果も期待はできます。しかし、それはHOAがなくてもできることです。
うちのサブティビジョンは、3軒しかないのもあって、お互い話すことがあれば、電話やテキストメッセージをするか、お互いのドアを叩いて直接お互いに話すようにしています。敷地内に、100メートルほどの私道があり、これはアスファルトで舗装されていない、土が剥き出しになった状態なのですが、この道路表面の管理(砂利を年に数度敷き詰める作業)や芝刈りや雪かきなどもお互いに自発的にしています(もちろんかかった費用は折半)。
こう言った作業を政治的に管理したい人はHOAの方が向いているかもしれませんが、うちらはどの家庭も肩肘張りたくない人達なので、HOA無しの方が向いていると言えます。多少、庭の芝が長くても、家の修理が完璧に行き届いていなくても誰も文句は言いません。お互い細かいことで言い合うのは嫌だからです。ゴミ出しもお互いの敷地の前にするのですが、ゴミがやたらと多くなった週は(特に夏場)、ガレージに貯めておくのが嫌なのでゴミ出し日の1、2日前から出しっぱなしだったりしますが、そんなことはどうでもいいとお互い考えています。日本なら恐らく考えられないですよね。
ということで、うちのご近所さんは、アメリカ人がよくいうLaid Back(ざっくばらんな性格)の人達で、同じ性格同士、上手くいっていると思います。しかも、毎日怪しい人が侵入してこないか見張っているお隣の親父もいいキャラを炸裂してくれているので、案外と助かっているわけです。(時々してくるトランプ自慢が鬱陶しい時がありますが、それも近所付き合いの一部ということで)
私が日本に住んでいたときは、近所付き合いというものをした記憶がほとんどないので、アメリカに来て、アメリカならではの近所付き合いで色々学ぶことが多くなっているような気がします。これは、近所付き合いだけでなく、仕事にも案外生かされることが多い(特にコミュニケーション能力)ので、自分のためにもなっているのではないかなと思います。
今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。
ようこそ。アメリカ移住者Yascoのブログへ! 兵庫県出身の関西人。1999年大卒で超就職氷河期世代。日本での人生に見切りをつけ、2003年9月に企業インターンとして単身渡米。2003年−2004年はフロリダ、2004年からミシガンに在住。その後、数々の就労ビザを繋いで、2012年にグリーンカード取得。2017年7月に米国市民権取得により日本国籍喪失。よって、現在は米国籍のみを持つ、日系米国人1世と相成りました。波乱万丈な元日本人の人生を日本人の皆様に少しでもご紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。
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