ようこそ。アメリカ移住者Yascoのブログへ! 兵庫県出身の関西人。1999年大卒で超就職氷河期世代。日本での人生に見切りをつけ、2003年9月に企業インターンとして単身渡米。2003年−2004年はフロリダ、2004年からミシガンに在住。その後、数々の就労ビザを繋いで、2012年にグリーンカード取得。2017年7月に米国市民権取得により日本国籍喪失。よって、現在は米国籍のみを持つ、日系米国人1世と相成りました。波乱万丈な元日本人の人生を日本人の皆様に少しでもご紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。

2019年10月31日木曜日

アメリカで働くということ〜職場の詳細情報−その2 アメリカ 移住 方法の解説

今回は、前回の投稿の続きのアメリカで働くことについてのお話です。



私は東京で新卒就職してから5年弱ほど一般企業でOLをしていたため、日本と米国での職場比較が容易なので、日本に住んでいる皆さんにとっては合点が行く話だと思いますが、まず、日本の職場では政治の話はタブーである場合が多いのではないでしょうか?

日本の職場で、例えば首相の悪口や政党の方針や選挙についての話をした記憶が私にはありません。多分、タブーだったからだと思います。恐らく、残業後の同僚同士の飲み会などでは話すこともあったかもしれませんが、まぁ、あまり話題に上がったことはないように思います。



私が渡米してから、インターン後に最初に正社員登用してもらった日系会社(H1bのスポンサー)で勤務していた時の上司は日本人の駐在員だったのですが、その人に、”アメリカでも職場であまり政治の話をするのは良くない”と言われたのを覚えています。

しかし、その同じ職場内でしばらくして、ブッシュ大統領の再選があったのですが、その選挙あたりになると、アメリカ人の同僚が熱い政治トークを切り広げていたんです!それを見て、驚いたことを覚えています。”職場で政治の話、めっちゃしてるやん、いいのかな?”と思ったわけです。でもその時は、その二人(中年アメリカ人男性)だからかなと思っていました。人数的にも10人以下の極小規模の職場だったから、皆お互いに仕事仲間というより家族のような雰囲気だったのも理由かもしれませんが。

それから、しばらくして、その職場を離れて、次の職場(大手日系)で働いていた時はなぜかあまり同僚が政治の話をしていたという記憶がありません。しかし、その数年後にアメリカ企業へ転職したのですが、やはりそこでは仲の良い同僚同士で結構政治の話をしていましたね。特に、ランチ時間中とか。当時はトランプが大統領選に立候補したところで、アメリカ人の政治・選挙に対する関心が爆発的に高まった頃だったというのが大きいと思いますが・・・。”今時、大統領になるには既に有名人になっていなくちゃいけないんか?!”みたいな話から、トランプやクリントンの悪口など、結構ぶっちゃけトークを繰り広げていました。だいたい皆の意見をまとめると、”どっちもどっち”という感じでしたが。

ちなみに、アメリカ人が政治の話をする時は、必ず自分はどっちの政党派かはっきり言うのが当たり前です。自己主張の激しいアメリカ人らしいですね。こと政治の話となるとこれがあてはまるんではないかと思います。これは職場でもプライベートでもどこでもです。逆に自分はどちらでもない(独立党派)などというと、どちらかはっきりするまで説得にかかるアメリカ人もいます(大きなお世話)。

逆にいうと、アメリカ人同士で政治の話になって、ちゃんと自分の応援する政党について語ることができない人は、あまり相手にされなくなります。もちろん、人にもよりますが、今特に、トランプがアメリカの政界をかき混ぜまくっているため、しっかり今の情勢に関して自分の意見を述べることができないと、”それでもアメリカ人か?!”と疑われるわけです。

流石に、職場で政治トークになって、相手に掴みかかってでも持論を繰り広げようとする人はいませんが、プライベート仲間でこういうシチュエーションになると、結構、半分喧嘩腰になり、面倒臭いな〜と思ってしまう場面が少なくないです。私はこういう場合は、相手の話をふんふんと聞いて納得して、とりあえず”あんたの言いたいことはわかったし、納得できる”みたいな応答をするようにしています。自分と応援する党が合致した場合は、話が弾む弾む(笑)。私のお隣さんは、60代後半の退職した白人男性で、大のトランプ派なので、毎日、庭で私と立ち話をする度にトランプの話になり、まるで自分の親戚か友達かのような自慢話をします。ちなみにこの人の友達の一人が、トランプのフロリダの別荘地でトランプ専属のゴルフキャディをやっていて、その人の口利きで、この隣人が昨年ホワイトハウスへ招待されて、大統領室へ入らせてもらったそうです。要は、そこまでの熱いトランプファンなんですね。毎日、”Make America Great Again"のロゴ付きの赤いキャップやT-シャツを着ています。ある意味、感心します。

私は、断固不法移民には反対なので、どちら派かと問われると、トランプ派(共和党)と答えています。なので、お隣の親父とは気が合うわけです。それを隣の親父も知っているので、いつも私にトランプ自慢を繰り広げるわけですね。

話が少しずれてしまいましたが、言いたかったことは、アメリカ人は職場でもプライベートでも関係なく、政治の話をする人は堂々とどこでもするんだ、ということです。だから、職場で政治トークはタブーというわけではなさそうです。あくまで、私の経験からの話ですが。

しかし、どこまで熱い政治トークをして良いかという判断基準はやはり、職場とプライベートでは明らかに線引きがされているように思います。

ただし、相手がアメリカ市民ではないとわかっている場合は、まず、アメリカ人は政治の話はしてこないでしょうね。選挙権がない相手に政治の話をするだけ時間の無駄だからです。逆に、選挙権がないのに政治の話をアメリカ人に持ち出すと、”あんたの意見なんか誰も気にしないよ”と言われるのが、せいぜいのオチでしょう。

また、余談になりますが、アメリカのメディア界は露骨なので、テレビ局によって共和党派か民主党派かにはっきり分裂しています。FOX系チャンネルは断然共和党で、CNNを始め、CNBCやABC、CBS系列は民主党です。なので、政治の話をしなくともアメリカ人にいつもどのテレビ局系チャンネルを見ているかを聞くと、どちらの政党派がすぐにわかってしまいます。ちなみに私は以前はCNNを見ていましたが、市民権を取得してからはCNNは一切見なくなりました。フェイクニュースとキチガイレベルのトランプへのやっかみが見ていられないレベルになってきたので。今は主にFOX系ですね、全米ニュースを見るときは。ニュースキャスターの言っていることがFOXの方が明らかに常識的で妥当だと思います。

今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。

2019年10月29日火曜日

アメリカで働くということ〜職場の詳細情報

過去の回で、ざっくばらんにアメリカ社会で働くことについてご紹介しましたが、今回はさらに踏み込んでアメリカの一般的な私企業の職場での日常的な雰囲気とか文化や慣習についてお話ししたいと思います。

ただし、私のこれからお話しする内容はあくまで、私の過去17年間ほどにおける、アメリカ自動車業界でのごく一般的な企業(日系5社+米系1社)のオフィス内での勤務経験に基づいたものなので、当然ながら、個人差が大いにあると思います。その点はある程度差し引きして読んでいただければと思います。要は”人による”話ということで・・・。

まず、アメリカの社会人の朝は早いということは以前もお話ししたと思いますが、それはなぜかというと、アメリカの子供のいる一般家庭では、親が子供の学校の送り迎えをする必要があるからだというのが理由の一つだと思います。日本のように子供を徒歩で自分たちだけで登校させることはできません。親が学校まで送り届けるか、スクールバスのバス停まで見送るかですが、まず、スクールバスの出発が学校によっては異常に早かったりするようです。住む場所にもよるそうですが、早い所だと朝7時くらいにはバスがピックアップにやってきます。アメリカでは子供が13歳くらいになるまで、一人で家で留守番をさせられないため、子供が登校する瞬間まで親が面倒を見なくてはいけません。
以上のような理由もあり、その他の家庭事情(あるいは、単に夕方早めに帰宅したいだけの理由もあり)によって、朝7時半とかに出勤する人はざらにいます。ですので、朝8時から会議とかはよくあります。子供のいない従業員にとっては迷惑千万なんですね、これが。
おまけに、ミシガンの場合、悪天候・寒すぎる(冬)とか学校へ襲撃脅迫状が届いた(アメリカならでは)とか水道・電気・ガスが止まった、先生のストなどの理由で学校がすぐに休校になります。それらの理由に加えて、子供が風邪引いたりして学校に行けない日は親はナニーを雇うか、その経済力がない(あるいはケチな)親は自分の仕事も休むか在宅勤務願いを出します。だから、同僚が突然当日になって休むことになったという事がよくあります。もちろん、職種によっては減給になる場合もありますが、普通の一般企業であれば上司も部下も子供に関してはお互い様という事でこういうドタキャン・在宅勤務もしくは欠勤はお咎めなしが普通です。
しかし、従業員の中には、せこい人もいるもので、これを逆手に利用して、子供の調子が悪いとか言って子供を頻繁に病気に(なったことに)して当日に在宅勤務希望をする人をちょくちょく見かけます。こうすることで、有給やシックリーブ(病欠用の休暇)を使わなくて済むのでね。こういう人は決まって、”何か私に用事があれば携帯にいつでも出られるので、電話してね”というので、実際に電話すると、まぁ出ない(笑)。アメリカはシングル・マザーやファーザーが多いので仕方がないといえばそうですが、これが嘘だとバレる場合もあり、その場合はいずれ首がかかります(当たり前)。
これは私が働いていた日系企業でも米系企業でもどちらでもよく見かける光景でした。というのは、アメリカでは何系企業でも従業員一人ひとりの人事考課は毎年しっかりと実行されるので、ここで欠勤が多いと減点され、ボーナスや昇給に響きます。最悪、首が言い渡されます。

上記に加えて、車通勤が基本の地域に住んでいる場合は、渋滞事情によって毎日きっかり同じ時間に出勤するという事がほぼ不可能なので、毎日皆出勤時間が30分くらいの範囲でまちまちです。いつもの通勤ルートで事故が1件でも発生すると道路が封鎖されることもしばしばで渋滞にどっぷり1時間くらいハマる場合もあります。ただし、朝会議の予定がある場合はもちろん例外です(それでも遅れてくる人もいるが)。とりわけ、アメリカ企業の職場では、一人ひとりが時間きっかりに出勤してきっちり時間まで働いているか見張っている人はほとんどいないと言っていいでしょう。日系企業ではマイクロマネジャーと言って、従業員一人ひとりの細かなミスや欠点を見つけたがる上司が多かったですが、アメリカ人(あるいは日本人以外の)上司は、従業員に与えられた年間パフォーマンス目標さえ達成していれば毎日の勤務時間はほぼ気にしないという感じでしたね。遅く来たら、その分遅くまで勤務さえしていれば誰も文句を言いません。
またこれ以外にも、午後に子供を学校へ迎えに行った後、習い事へ連れていかなければならないという理由で(大概のアメリカ人男子はアメフト、女子はサッカー)、2、3時頃に退社して残りの時間は在宅勤務にするという人もいます。まぁ、こういう人は、残りの時間は子供につきっきりになるので、在宅勤務なんかしていないのが普通ですが(携帯に電話しても出ないのでバレバレ)・・・。

以上の状況が一般企業のサラリー職(年俸制)での常識ですが、同じ企業の従業員でもシフト・時給制の職種(ブルーカラー職やサービス業あるいはパート職員)の人はこれができません。遅刻・早退したらその分減給になるのでね。なので、アメリカである程度以上の高学歴者はシフト制の仕事には就きません。必然的にシフト制の職業についている人は高卒やコミュニティカレッジ程度の学歴しかない人がほとんどになります。もちろん高学歴でもシフト制職はありえますが、その分かなりの高額給料やら特典をもらっているはずです(でも時給制ではないはず)。

また、これもなんとも不公平感満載なんですが、アメリカの職場では、同じ企業の同じ社歴・階級の従業員でも就く職種によって結構な格差がある場合が多いです。オフィスワーク職より技術職や営業職の方がかなり優遇されている(昇進が早い)のはほんの一例です。また、上司やチーム・部署によってもかなり勤務条件に差があります(時短勤務や在宅勤務の許可レベルなど)。それに、同じチーム内の似たような職種でも、タイトル(役職名)の微妙な違いのため(Account ManagerとSales Managerなど)、職務評価の基準や難易度に明らかな差が発生しているという事が珍しくありません。私が考えるに、人事部には従業員一人ひとりに対する実績目標や給与・ボーナス額の決定権がないため、最終的には各上司の自己中心的な好き嫌い(依怙贔屓)での判断になってしまう事が多く、それが昇進スピードにも影響し、職歴が浅くて職務能力も並な上司のお気に入り社員が職歴が長くて優秀な社員より上のレベルへ昇進してしまい、給与も後者よりかなりもらうという事態が発生してしまうのだと思います。この給料(ボーナスを含めた年俸)の差に関しては、特に雇用者が就労ビザのスポンサーである場合は、大抵の職場では低く抑えられます。また、同じ学歴と職歴を要する同じ職務内容でも、米系(あるいは非日系)企業の方が日系企業より遥かに給与基準が高いです。なので、一度米系企業で高い給与をもらった経験のある人は日系企業では働きたがりません。私も米系企業で働いてからそう思うようになりました(それに気づいた日系企業は最近給与基準を上げてきていますが)。
よって、日本のように社内の皆が平等な条件下(給与、昇進を含め)で勤務していなければならないというルールは(一応全社的人事方針はありますが)、実質的には実行されていない職場が多かったですね。もちろん日系企業は日本本社の手前もあるので、この点は米系企業より平等性が高いとは思います。でも、こちらの日系企業のほとんどが既に現地化しているので、現地人(日本人以外)が上司である場合が多いです。
そもそも、アメリカではその企業に入社する際に雇用契約書に署名する事が求められ、そこに各人の置かれた職務条件がぎっしり記載されており、それに署名するということはその書面上の一言一句を受け入れたということになるので、文句があるならその企業で働くことを拒否すれば良いだけ、という話になります。

おまけに、雇用契約書と共に、ミシガン州を始め多くの州では”At Will Employment"に対する合意書にも署名を求められます。このAt Will Employmentとはどういうことかというと、雇用者、従業員のどちらからでも雇用契約解除を申し出られるということです。要は、雇う側も雇われる側も、相手が嫌になったら首切るか辞める事がいつでもできるということです。もちろん辞職する場合は、きちんと辞表を提出する事が基本原則です。どれくらいの猶予が必要かというと、たったの2週間です。なので、実質、こうなると次の人への引き継ぎはできないんですね。でも会社は文句が言えません、州法には違反していないし、会社側も2週間くらいで従業員を解雇できるからです。正にどっちもどっちという話・・・

こんな感じなので、アメリカでは解雇や従業員自らの辞職(大概は転職が理由)は日常茶飯事です。

ちなみに、転職による辞職ですが、アメリカでは現職で働いている間に転職活動をして次の仕事が決まってから次の職場での勤務開始日の2週間前に辞表を提出するのが普通です。次の仕事が決まっていないのに、ただ単に現職が嫌だからといって辞める人はほとんどいません(私の周りには)。こうする事で、次の雇用者と給与交渉する際に有利になるからです。現職より高い給与を提示しなければ次の職場へ誰も移ってきてくれないのはアメリカ社会で働く者にとって常識です。
このため、アメリカで転職する場合の十中八九は、転職=給与アップになります。アメリカでは減給になるのに”やりがい”があるからと言って転職する人は99%ありえません。そもそも”やりがい”なんてアメリカ人は仕事に求めていないのです。働くのはあくまで生活のためです。やりがいなんてどうでもいいというのが一般的な考え方ですね。私はこの考え方に賛成です。なので、アメリカ社会で働くようになって仕事に対してかなりドライになりました。日本では転職面接の際でもお金の話をするのが御法度のような雰囲気になりますが、アメリカではまずお互いが考える希望給与枠のすり合わせから始まります。いくらお互いを気に入っても、希望給与がマッチしなければ採用にかける時間と労力の無駄になりますから。
その上で、転職者は給与交渉の際にできるだけ高い希望を出して高値を取り付けておく事が肝心になります。自分の経歴やスキルの安売りは禁物ですし、各職場で働き始めた時の給与がベースになって、その後のボーナスや昇給が%率で査定されるので、勤務開始時の給与額が高ければ高いほどその後の全体報酬額も高くなるというわけです。
逆にいうと、現職の給与アップを狙って、辞職する気は無いのに転職活動して次の職場から雇用契約書(オファーレター)だけ取り付けて、それに署名する前に、現職の上司へその話を持っていき、”現職の給料上げてもらわないと転職しちゃうぞ”とカウンターオファーする凄技をやる人もいます。私は個人的にそれをすると現職に残った場合、気まずくなるのが嫌なので、今までやった事がないですが、こうするアメリカ人は結構います。もちろん、これは結構な賭けになるので、現職から”どうぞ転職したいなら出て行ってもらって結構”と言われる結果になる可能性も高いですが、そうなったらオファーもらった職場へシンプルに転職すれば良いだけの話なので、やってみる価値はあると私は思います。でもくれぐれもきっちり次の職場の採用担当のサイン付きのオファーレターを受け取って転職が確実になったことを確認する事が重要です。

さて、またまた、長文になってしまったので、続きのお話は次回にしたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました。


2019年10月24日木曜日

私がアメリカ人になった理由〜米国市民権取得の決断 私のアメリカ 移住 方法の解説

前回までに、私がどのような就労ビザを取得して渡米してこれまでアメリカで働いてきたか、また、どうやって雇用ベースのグリーンカードまでたどり着くことができたかの苦労話をご紹介しました。

今回は、その後、なぜ、私が米国市民権(アメリカ国籍)を取得する事にしたのかをお話ししたいと思います。と言うのも、私の知る限りで言うと、在米日本人のほとんどはグリーンカードを取ったらそれで目的達成となり、米国市民権には興味がありません。永遠にグリーンカードを維持するつもりの人がほとんだと思います。その一番の理由は、みなさんご存知のように、日本国憲法で二重国籍が禁止されているため、”日本国籍を喪失したくない”、と言うことだと思います。私も、米国市民権を申請する前にその事で少し悩みました。また、次に多い理由は、”いずれ老後は医療費の安い日本で暮らしたい”、だと思います。これも良くわかります。アメリカの医療費は高騰する一方ですから。

私も実は、グリーンカードをずっと保持するつもりでした。色々と老後のことをしっかり考える前までは。日本国籍を捨てる心の準備ができていなかったのが、正直なところ。
そこで、まず、実際に、自分は日本とアメリカのどっちで老後を過ごしたいか自問自答しました。私の答えはアメリカでした。そもそも、私は渡米する際、アメリカで骨を埋める覚悟でやってきました。ですので、この答えは最初から出ていたと言ってもいいでしょう。とは言っても、老後は1年のうちの数ヶ月くらいは日本で過ごすつもりです(体力と健康の限り)。家族や友人がまだ沢山いますからね。でも、あくまで拠点はアメリカだな、と言う結論に至りました。
そこで、思い返すと、私は日本で戦後の第2次ベビーブーマーとして生まれ育ち、凄まじい受験戦争に揉まれ、大学卒業の頃には折しもの超就職氷河期に合い、日本政府から見捨てられた世代としてかなりの苦労を強いられた部類の一人です。そんな日本社会(政府)にはもう期待しないことを決心して身一つでやってきて、アメリカで運にも恵まれ、それなりに良い人生を送るチャンスを与えてくれたのは紛れもなくアメリカ政府(就労ビザやグリーンカードを許可してくれたわけですから)だと気付いたんですね。だったら、自国民に一切チャンスを与えてくれなかった日本より、数々の人生再起のチャンスを与えてくれたアメリカに恩恵を返すべく(税金を払いながら)残るべきではないかと思ったのが一番の理由でした。つまるところ、子供の頃から受験戦争などで努力・葛藤したにも関わらず、就職氷河期世代になってしまったが最後、日本社会の恩恵は何も受けられなかったし、これからも受けることはないだろうと確信してしまったのです。年金だって、日本ではもう我々の世代が老人になる頃は受給額があるかどうかすらわかりません。それに対して、アメリカの人口は今だに増加傾向なので、今後も年金がゼロになることはあり得ません(私の場合、受給額も日本の数倍になるし)。だったら、今まで日本政府に苦渋を吸わされた分、アメリカ人という外国人としてこれからは日本へ行って”おもてなし”をしてもらおうじゃないの、という結論に至ったのです。

もちろん、税金を払う以上アメリカの大統領選挙で投票したいというのも理由の一つです。あと、後付け理由ですが、アメリカで今後も人生送っていくには、やはりアメリカ国籍を取得してアメリカ人になった方が様々な面で有利になるためです(特に訴訟問題に巻き込まれた場合など)。”グリーンカード保持者はほぼアメリカ人と同等レベルと見なされる”と思っている在米日本人永住者が多いですが、これは転職の際の条件に限っての話です。当のアメリカ人に言わせると、グリーンカード保持者はあくまで外国人なので、はっきり言って、2等級市民(部外者)扱いです。そうです、アメリカという国(政府)は基本的にいつの時代でも自国民を優先し、外国人ははっきり言って国にとってどうでも良い存在です。”アメリカが嫌ならとっとと国へ帰れ”、と外国人に向かって堂々と言うアメリカ人は多いです(ご尤も)。その証拠に、ただの永住権保持者とアメリカ国籍者とでは、連邦政府から受け取れる社会保障や金額にも大きな違いがあります。当然ながら、アメリカの保証制度はアメリカ国民のみのためにあるため、年金や障害者保険、雇用保険などの中には、永住権保持者でも受け取れないものがいくつかあります。そのため、私の出席したアメリカ市民権の宣誓式では、職員の人が、この式が終わったら速攻でソーシャルセキュリティ・オフィス(社会保障事務所のような所)へ行って、アメリカ国籍を取得したことによるステータス変更手続きをするように言われました。アメリカ国民にしか享受できない社会保障が沢山あるからだと言っていましたね。

また、これは最近に限っての話ですが、にわかにトランプを追い出すことに躍起になっている民主党に言わせると、在米外国人は将来自分たちの味方になってくれる存在と期待していますが、その外国人が将来アメリカ人になったら民主党に投票するとは限りません。恐らく、その反対になるでしょう(あくまで私見)。しかし、思い返すと、クリントンやオバマですら不法移民の追い出しに躍起になっていたし、9.11以降はどちらの政権下でも合法移民制度は厳格化する一方です。だから、過去、どちらの政党が大統領になってもアメリカと言う国はアメリカ国民を優先する(自国民保護主義)スタンスは変えていないわけです。この点からしても、外国人を自国民より優先する日本政府とは全く逆ですね(就職氷河期世代より外国人労働者を優先しているわけですから)。でも、国としてアメリカのやっていることが正しいと私は思います。自国民を尊重しない国はいずれ滅びるでしょう。

また、これはさらなる追加理由になりますが、アメリカの移民法は大統領が変わる度にコロコロ変更されます。今のところ、グリーンカードを最低5年保持で市民権の申請資格が得られると言うのは基本ルールになっていますが(例外で3年保持)、これがいつの日か5年ないし10年かそれ以上にならないとは限りませんし、審査要件も一層厳格化してほとんどの永住者が実質帰化できなくなる、なんてことが全くあり得ないとは誰も断言できないでしょう。また、あらゆる就労ビザやグリーンカード発行数も既に実際に減少しています。そこで、”取得できるうちに取得できる権利を取っておく”というのはあながち間違った考え方ではなかろう、と思ったわけです。

ちなみにですが、在米日本人永住者が多く考えている、”老後は日本とアメリカで半々の生活をする”と言う計画ですが、この計画をグリーンカードのままですると、だいたい2年目くらいで、次に米国へ入国する際にグリーンカードを米国政府に没収されてしまいます。永住権の規定で、グリーンカード保持者は基本的に米国に継続的に居住して社会貢献する(納税など)ことが要件になっているため、毎年50%以上の期間をアメリカ国外で過ごしていると(出張・駐在も含め)その要件を満たしていないと見なされるからです。これは市民権申請の際も問題になります(申請却下される可能性も)。もちろん、この規定の免責許可を取ることもできますが、せいぜいそれができるのは人生で1〜2回くらいらしいです。と言う以上の事実を、私なりの調査で発見しました。これもあって、市民権を取ることにしました。アメリカ人である限り、どれだけ国外滞在していてもアメリカ入国を断られることはあり得ません。それに、日本は血族主義なので、元日本人は簡単に長期滞在許可(3−5年)が取得でき、これで自由に日本で働ける上、日本に1年以上居住していると永住権も取得できます。まさにWin-Winだと言うわけです。(これをWin-Winと思うかどうかは個人差ありますが)

さらに余談ですが、以上のことを知った上で、日本国籍を捨てる覚悟ができないまま成人になってから自分の意思で米国市民権を取得する在米日本人は実は多いです(インターネットなどで見かけますし、口コミでも聞きます)。つまり、勝手に自分を”自称”二重国籍者にしてしまっている人たちです。こう言う人は、甘い日本の入国審査を利用して、日本へ入国する際は日本のパスポートを見せ、アメリカへ入国する際はアメリカのパスポートを見せているようです。まさに、日本とアメリカのいいとこ取りをしようとしているわけです。しかし、これははっきり言って犯罪ですよね。日本の入国管理法か何かの違反になるはずです。見つかれば2度と日本に入国できなくなってしまいます。

ちなみに私は、何事もあやふやにしておく事が嫌いなため、米国市民権を取得した直後に、”国籍喪失届”を在米領事館へ提出しました。これで、私の唯一の国籍はアメリカになってしまったのです。もちろん、自分の決断なので、後悔はありません。
次に日本へ行く時は、日本の入国審査で外国人の列に並ばなくてはならないのが、玉に瑕ですが・・・

今回は以上です。
ご覧いただき有難うございました。

コロナワクチン~モデルナ二回目接種でワクチン接種を完了しました!

 こんにちは! 先週末に遂に2回目のコロナワクチンを接種して、今回のワクチン接種を完了しました。 結論から言うと、やはり、2回目後の方が副反応がきつかったですね。 この時の動画 をYoutubeで挙げていますので、是非ご覧ください。 ただ、そのキツイ副反応も接種後24~36時間で...