ようこそ。アメリカ移住者Yascoのブログへ! 兵庫県出身の関西人。1999年大卒で超就職氷河期世代。日本での人生に見切りをつけ、2003年9月に企業インターンとして単身渡米。2003年−2004年はフロリダ、2004年からミシガンに在住。その後、数々の就労ビザを繋いで、2012年にグリーンカード取得。2017年7月に米国市民権取得により日本国籍喪失。よって、現在は米国籍のみを持つ、日系米国人1世と相成りました。波乱万丈な元日本人の人生を日本人の皆様に少しでもご紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。

2019年10月29日火曜日

アメリカで働くということ〜職場の詳細情報

過去の回で、ざっくばらんにアメリカ社会で働くことについてご紹介しましたが、今回はさらに踏み込んでアメリカの一般的な私企業の職場での日常的な雰囲気とか文化や慣習についてお話ししたいと思います。

ただし、私のこれからお話しする内容はあくまで、私の過去17年間ほどにおける、アメリカ自動車業界でのごく一般的な企業(日系5社+米系1社)のオフィス内での勤務経験に基づいたものなので、当然ながら、個人差が大いにあると思います。その点はある程度差し引きして読んでいただければと思います。要は”人による”話ということで・・・。

まず、アメリカの社会人の朝は早いということは以前もお話ししたと思いますが、それはなぜかというと、アメリカの子供のいる一般家庭では、親が子供の学校の送り迎えをする必要があるからだというのが理由の一つだと思います。日本のように子供を徒歩で自分たちだけで登校させることはできません。親が学校まで送り届けるか、スクールバスのバス停まで見送るかですが、まず、スクールバスの出発が学校によっては異常に早かったりするようです。住む場所にもよるそうですが、早い所だと朝7時くらいにはバスがピックアップにやってきます。アメリカでは子供が13歳くらいになるまで、一人で家で留守番をさせられないため、子供が登校する瞬間まで親が面倒を見なくてはいけません。
以上のような理由もあり、その他の家庭事情(あるいは、単に夕方早めに帰宅したいだけの理由もあり)によって、朝7時半とかに出勤する人はざらにいます。ですので、朝8時から会議とかはよくあります。子供のいない従業員にとっては迷惑千万なんですね、これが。
おまけに、ミシガンの場合、悪天候・寒すぎる(冬)とか学校へ襲撃脅迫状が届いた(アメリカならでは)とか水道・電気・ガスが止まった、先生のストなどの理由で学校がすぐに休校になります。それらの理由に加えて、子供が風邪引いたりして学校に行けない日は親はナニーを雇うか、その経済力がない(あるいはケチな)親は自分の仕事も休むか在宅勤務願いを出します。だから、同僚が突然当日になって休むことになったという事がよくあります。もちろん、職種によっては減給になる場合もありますが、普通の一般企業であれば上司も部下も子供に関してはお互い様という事でこういうドタキャン・在宅勤務もしくは欠勤はお咎めなしが普通です。
しかし、従業員の中には、せこい人もいるもので、これを逆手に利用して、子供の調子が悪いとか言って子供を頻繁に病気に(なったことに)して当日に在宅勤務希望をする人をちょくちょく見かけます。こうすることで、有給やシックリーブ(病欠用の休暇)を使わなくて済むのでね。こういう人は決まって、”何か私に用事があれば携帯にいつでも出られるので、電話してね”というので、実際に電話すると、まぁ出ない(笑)。アメリカはシングル・マザーやファーザーが多いので仕方がないといえばそうですが、これが嘘だとバレる場合もあり、その場合はいずれ首がかかります(当たり前)。
これは私が働いていた日系企業でも米系企業でもどちらでもよく見かける光景でした。というのは、アメリカでは何系企業でも従業員一人ひとりの人事考課は毎年しっかりと実行されるので、ここで欠勤が多いと減点され、ボーナスや昇給に響きます。最悪、首が言い渡されます。

上記に加えて、車通勤が基本の地域に住んでいる場合は、渋滞事情によって毎日きっかり同じ時間に出勤するという事がほぼ不可能なので、毎日皆出勤時間が30分くらいの範囲でまちまちです。いつもの通勤ルートで事故が1件でも発生すると道路が封鎖されることもしばしばで渋滞にどっぷり1時間くらいハマる場合もあります。ただし、朝会議の予定がある場合はもちろん例外です(それでも遅れてくる人もいるが)。とりわけ、アメリカ企業の職場では、一人ひとりが時間きっかりに出勤してきっちり時間まで働いているか見張っている人はほとんどいないと言っていいでしょう。日系企業ではマイクロマネジャーと言って、従業員一人ひとりの細かなミスや欠点を見つけたがる上司が多かったですが、アメリカ人(あるいは日本人以外の)上司は、従業員に与えられた年間パフォーマンス目標さえ達成していれば毎日の勤務時間はほぼ気にしないという感じでしたね。遅く来たら、その分遅くまで勤務さえしていれば誰も文句を言いません。
またこれ以外にも、午後に子供を学校へ迎えに行った後、習い事へ連れていかなければならないという理由で(大概のアメリカ人男子はアメフト、女子はサッカー)、2、3時頃に退社して残りの時間は在宅勤務にするという人もいます。まぁ、こういう人は、残りの時間は子供につきっきりになるので、在宅勤務なんかしていないのが普通ですが(携帯に電話しても出ないのでバレバレ)・・・。

以上の状況が一般企業のサラリー職(年俸制)での常識ですが、同じ企業の従業員でもシフト・時給制の職種(ブルーカラー職やサービス業あるいはパート職員)の人はこれができません。遅刻・早退したらその分減給になるのでね。なので、アメリカである程度以上の高学歴者はシフト制の仕事には就きません。必然的にシフト制の職業についている人は高卒やコミュニティカレッジ程度の学歴しかない人がほとんどになります。もちろん高学歴でもシフト制職はありえますが、その分かなりの高額給料やら特典をもらっているはずです(でも時給制ではないはず)。

また、これもなんとも不公平感満載なんですが、アメリカの職場では、同じ企業の同じ社歴・階級の従業員でも就く職種によって結構な格差がある場合が多いです。オフィスワーク職より技術職や営業職の方がかなり優遇されている(昇進が早い)のはほんの一例です。また、上司やチーム・部署によってもかなり勤務条件に差があります(時短勤務や在宅勤務の許可レベルなど)。それに、同じチーム内の似たような職種でも、タイトル(役職名)の微妙な違いのため(Account ManagerとSales Managerなど)、職務評価の基準や難易度に明らかな差が発生しているという事が珍しくありません。私が考えるに、人事部には従業員一人ひとりに対する実績目標や給与・ボーナス額の決定権がないため、最終的には各上司の自己中心的な好き嫌い(依怙贔屓)での判断になってしまう事が多く、それが昇進スピードにも影響し、職歴が浅くて職務能力も並な上司のお気に入り社員が職歴が長くて優秀な社員より上のレベルへ昇進してしまい、給与も後者よりかなりもらうという事態が発生してしまうのだと思います。この給料(ボーナスを含めた年俸)の差に関しては、特に雇用者が就労ビザのスポンサーである場合は、大抵の職場では低く抑えられます。また、同じ学歴と職歴を要する同じ職務内容でも、米系(あるいは非日系)企業の方が日系企業より遥かに給与基準が高いです。なので、一度米系企業で高い給与をもらった経験のある人は日系企業では働きたがりません。私も米系企業で働いてからそう思うようになりました(それに気づいた日系企業は最近給与基準を上げてきていますが)。
よって、日本のように社内の皆が平等な条件下(給与、昇進を含め)で勤務していなければならないというルールは(一応全社的人事方針はありますが)、実質的には実行されていない職場が多かったですね。もちろん日系企業は日本本社の手前もあるので、この点は米系企業より平等性が高いとは思います。でも、こちらの日系企業のほとんどが既に現地化しているので、現地人(日本人以外)が上司である場合が多いです。
そもそも、アメリカではその企業に入社する際に雇用契約書に署名する事が求められ、そこに各人の置かれた職務条件がぎっしり記載されており、それに署名するということはその書面上の一言一句を受け入れたということになるので、文句があるならその企業で働くことを拒否すれば良いだけ、という話になります。

おまけに、雇用契約書と共に、ミシガン州を始め多くの州では”At Will Employment"に対する合意書にも署名を求められます。このAt Will Employmentとはどういうことかというと、雇用者、従業員のどちらからでも雇用契約解除を申し出られるということです。要は、雇う側も雇われる側も、相手が嫌になったら首切るか辞める事がいつでもできるということです。もちろん辞職する場合は、きちんと辞表を提出する事が基本原則です。どれくらいの猶予が必要かというと、たったの2週間です。なので、実質、こうなると次の人への引き継ぎはできないんですね。でも会社は文句が言えません、州法には違反していないし、会社側も2週間くらいで従業員を解雇できるからです。正にどっちもどっちという話・・・

こんな感じなので、アメリカでは解雇や従業員自らの辞職(大概は転職が理由)は日常茶飯事です。

ちなみに、転職による辞職ですが、アメリカでは現職で働いている間に転職活動をして次の仕事が決まってから次の職場での勤務開始日の2週間前に辞表を提出するのが普通です。次の仕事が決まっていないのに、ただ単に現職が嫌だからといって辞める人はほとんどいません(私の周りには)。こうする事で、次の雇用者と給与交渉する際に有利になるからです。現職より高い給与を提示しなければ次の職場へ誰も移ってきてくれないのはアメリカ社会で働く者にとって常識です。
このため、アメリカで転職する場合の十中八九は、転職=給与アップになります。アメリカでは減給になるのに”やりがい”があるからと言って転職する人は99%ありえません。そもそも”やりがい”なんてアメリカ人は仕事に求めていないのです。働くのはあくまで生活のためです。やりがいなんてどうでもいいというのが一般的な考え方ですね。私はこの考え方に賛成です。なので、アメリカ社会で働くようになって仕事に対してかなりドライになりました。日本では転職面接の際でもお金の話をするのが御法度のような雰囲気になりますが、アメリカではまずお互いが考える希望給与枠のすり合わせから始まります。いくらお互いを気に入っても、希望給与がマッチしなければ採用にかける時間と労力の無駄になりますから。
その上で、転職者は給与交渉の際にできるだけ高い希望を出して高値を取り付けておく事が肝心になります。自分の経歴やスキルの安売りは禁物ですし、各職場で働き始めた時の給与がベースになって、その後のボーナスや昇給が%率で査定されるので、勤務開始時の給与額が高ければ高いほどその後の全体報酬額も高くなるというわけです。
逆にいうと、現職の給与アップを狙って、辞職する気は無いのに転職活動して次の職場から雇用契約書(オファーレター)だけ取り付けて、それに署名する前に、現職の上司へその話を持っていき、”現職の給料上げてもらわないと転職しちゃうぞ”とカウンターオファーする凄技をやる人もいます。私は個人的にそれをすると現職に残った場合、気まずくなるのが嫌なので、今までやった事がないですが、こうするアメリカ人は結構います。もちろん、これは結構な賭けになるので、現職から”どうぞ転職したいなら出て行ってもらって結構”と言われる結果になる可能性も高いですが、そうなったらオファーもらった職場へシンプルに転職すれば良いだけの話なので、やってみる価値はあると私は思います。でもくれぐれもきっちり次の職場の採用担当のサイン付きのオファーレターを受け取って転職が確実になったことを確認する事が重要です。

さて、またまた、長文になってしまったので、続きのお話は次回にしたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました。


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