ようこそ。アメリカ移住者Yascoのブログへ! 兵庫県出身の関西人。1999年大卒で超就職氷河期世代。日本での人生に見切りをつけ、2003年9月に企業インターンとして単身渡米。2003年−2004年はフロリダ、2004年からミシガンに在住。その後、数々の就労ビザを繋いで、2012年にグリーンカード取得。2017年7月に米国市民権取得により日本国籍喪失。よって、現在は米国籍のみを持つ、日系米国人1世と相成りました。波乱万丈な元日本人の人生を日本人の皆様に少しでもご紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。

2019年10月21日月曜日

アメリカ就労ビザとの格闘〜雇用ベース永住権まで  アメリカ 移住 方法の解説

前回は、”アメリカ社会で働く”ということについて語りましたが、これはアメリカ人、外国人関わらずアメリカで働く者にとっての(私の経験値からの)、一般論でした。
今回は、その話を更に深く掘り下げて、”日本人(外国人)にとってアメリカ社会で働くとは”についてお話ししていきたいと思います。

まずもって否応にも考えなくてはいけないのが、アメリカで外国人が働くために必要なもの、そうです、就労ビザです。前々回でも言いましたが、この就労ビザを経ずにいきなりグリーンカードを取得して就労権を得る人もいますが、これは私を含めてほとんどの人には当てはまらないので、この話は除外します。それに加えて、駐在員として、会社に就労ビザや渡航後生活を手配してもらって渡米するパターンも私にとっては全く異次元の話なので、除外します。
要は、基本中の基本である就労ビザから雇用ベースのグリーンカード取得まで、自力渡米から始まった長年にわたるの精神的格闘生活のお話をしたいと思います。私にとってこれは言わば、人生をかけた実力と運の真っ向勝負でした。たった一人ぼっちの戦いです。頼れるのは自分しかいない、という孤独との戦いでもありました。
私の場合、最初の就労ビザ獲得からグリーンカード取得まで、実に9年弱かかりました。
では、ここまでに至る苦労話をしていきたいと思います。


これまでの回でも何度もお話した通り、私の日本からの渡米はJ1ビザでした。J1ビザ取得は割とスムーズにいき、申請期間は3ヶ月強ほどだったと思います。いざ渡米して、ここから苦労の連続でしたね。まず、既にお話した通り、6ヶ月後にJ1ビザの主目的であったインターン職がなくなり、全米で転職活動をし、フロリダからミシガンへ引っ越し、そこからH1bビザ取得がかかった勤務生活が始まりました。

アメリカで就労ビザを取得するには、職場である雇用者にスポンサーになってもらわなければなりません。これが結構クセものなのです。普通、(特にアメリカでは)雇用者と従業員は割と対等な、持ちつ持たれつの関係ですが、就労ビザが絡むとそうはいきません。完全に、スポンサーである雇用者が被スポンサーである従業員より強い立場になります。完全なる上下関係です。それもそのはず、雇用者にとって従業員のビザスポンサーをするということは、アメリカ政府に対して、”この従業員のアメリカ生活の面倒を一切ウチが保証します”と弁明する必要があるからです。その証明をするには、アメリカ政府へ払うそれなりの金額の申請費用が会社持ちになる上、会社の財務状況が適切であることもアメリカ政府に証明しなければなりません。要は、従業員一人のビザスポンサーをするだけでもかなりの労力とお金がかかってしまうのです。しかも、給与はアメリカ人の同職種労働人口と同等でなければなりません。はっきり行って、就労ビザは雇用者にとってかなり”余計なお荷物”になるのです。よって、そういうお荷物を背負ってでも雇いたい特殊能力(超能力とかではなく)と素質があると認められた従業員にしかビザのスポンサーはしてもらえません。
ここで、特殊能力として有利になるのは、エンジニア系や医療系、会計金融系などが特にそうですが、日本人の場合、アメリカに進出している日系企業が多いので、日本語を常時必要とする職務の場合は日本語能力も有利になります。ただし、H1bビザの難しいところは、最低でも4大卒の学歴が必要な上、その専攻内容と職務内容がきっちり合致していることが最低条件になりますので、ご留意を。
ということで、日本人の場合、一番就労ビザの可能性が上がるのが、日系企業に就職することだと私は思います。米国やその他の国籍企業でもビザスポンサーの可能性はありますが、エンジニア系に限られる上、日本語能力はほぼ必要なくなるので、他国籍者との競争になります。こちらの方が競争率が高いかもしれません。その上、景気が悪くなるとすぐに解雇の危機に陥りますので、リスクは日系に比べて高くなるように思います。

私の場合も雇用ベースのグリーンカードまで日系企業にお世話になりました。
まず、J1ビザで最初の1年間を過ごし、その間にきっちり時間通りに勤務し、残業も毎日のようにし、上司にも口答えせず(途中何度かビザスポンサーをチラつかせられ黙らされた)、忍耐強くひたすらにH1bビザを狙って頑張った甲斐があり、すぐに会社にH1bビザ申請に入ってもらうことができました。

しかし、上記で述べたように、この場合、雇用者が立場的に上で従業員が下という構図が完全に出来上がってしまうので、ビザスポンサーという恩義を受ける従業員は、常時会社の意思に従わなくてはなりません。この”会社の意思”には、給与額や勤務体制、勤務地、出張の頻度など多くの要素が含まれます。多くの場合、雇用者にビザスポンサーになってもらう従業員の給与は最低限度まで低く抑えられます(ビザ申請の合格範囲まで)。ビザ申請に余分な経費がかかってしまうから仕方がないといえばそうでしょう。また、他の従業員が受け入れ難い面倒な出張や出向が必要になると、その打診をされる可能性が多くなり、そうなると断ることはできません。断って、ビザスポンサーを打ち切りにされたらたまったものじゃないからです。あとは上司や同僚と関係がうまく行っていなくても、黙って耐える必要があります。日本で、”こんな会社出て行ってやる!”なんて言って出ていける状況でも、アメリカで就労ビザ保持者がそれをすると、速攻国外退去に繋がりますので、禁物です。ですので、こちらで、就労ビザで働く人たちがよく冗談交じりにいう諺に”Bite the bullet(弾丸を噛んだまま相手のいいなりになって辛抱する)"というのがありますが、まさにその状況を私は幾度となく経験しました。それもこれも全て就労ビザ取得のためです。多少嫌な上司や同僚がいても、就労ビザが手に入るんなら、長い目で見てどうってことない、と思うようにしていました。

みなさん、もうお気づきかと思いますが、はっきり言って、アメリカで就労ビザで働くにはかなりの辛抱強さと気の長さが必要になります。間違いなく、普段から頭のフューズがすぐ飛んでしまうような人は就労ビザは向かないと思います。私の場合、この生活が約9年でしたので、グリーンカードが取れた時の喜びは人一倍大きかったですね。

私はH1bビザを計6年間保持していたのですが、その間、初回取得3年後に更新してその直後に転職をしました。H1bビザ保持中に転職もできます。しかし、その場合、新しい雇用者によるH1bの雇用者変更手続きが必要になります。私が更新と内容変更手続きをした当時は、初回申請時のような厳しい審査は必要なかったのですが、現在は初回申請と同等レベルの審査が必要になっているようなので、H1bビザ保持中に転職するのはなるべくもう今は避けたほうが無難だと思います。
そして、私の場合、H1bビザの2つめの雇用者に転職する際に、H1bビザが満期になる前に雇用ベースのグリーンカードのスポンサーをしてもらうことを合意に含めて入社しました。こちらで転職する際は、必ず詳細条件を記載したオファーレターをもらうのですが、今後の就労ビザの条件も書面に含めてもらう必要があります。

そして、この2つめのH1bビザスポンサーで働き始めて1年ほどしたところで、私の(インド系カナダ人)上司からそろそろグリーンカードの申請をし始めた方がいいのではないかと打診してもらい、その会社の顧問移民弁護士に申請開始してもらいました(ここでは弁護士費用は私と折半)。ここでも良い上司に恵まれたようです。考えてみれば、最初のH1bビザ雇用者の上司も2つめの雇用者の上司も彼ら自身アメリカで就労ビザを取得した経験がある人だったので、同じような立場の従業員にも理解があったのだと思います。逆にいえば、就労ビザ云々に一切興味と必要がないアメリカ人上司だとどうなっていたかな、と思います。

さて、ここからがさらなる忍耐でした。当時、2009年頃でしたが、雇用ベースのグリーンカード申請は長蛇の待ち時間を要しており、私の場合(EB3カテゴリー)は申請時点で5年待ちと言われました。結局、最終的には3年ちょっとで取得できましたが。ちなみに雇用ベースのグリーンカードは国籍ごとに年間発行数が決まっており、日本人は当時5年、インド人や中国人に至っては10年以上待ちでしたね。5年待ちはまだマシな方だったのです。この待ち時間は申請時の移民法や申請状況によって全く違ってきます。アメリカの移民法は驚くほど政権によってコロコロ変わるので注意が必要です。ただ、全体的にどのビザでも永住権でも厳格化傾向ではないでしょうか。

この雇用者ベースのグリーンカードの申請中は雇用者の変更ができません。つまり転職は基本的にできないのです。基本的にはできないですが、転職禁止ではありません。ただし、その場合、申請が一からやり直しになりますので、大変なリスクがあります。そして、H1bビザはグリーンカード申請中に失効してもグリーンカードの審査が下りるまで例外的に更新し続けられます。
H1bビザと雇用ベースのグリーンカードの申請条件の違いは、H1bビザは大学専攻内容と職務内容とがきっちり合致が条件ですが、雇用グリーンカード(EB3)の場合は、現職が現地のアメリカ人または永住権保持者にはできない内容であることが条件です。よって、グリーンカードの申請の第一段階で、実際に現職の公募をしなければなりません。確か2週間くらいだったはずです。この公募期間中に職能資格が合致する人物が現れたらグリーンカード申請は却下になります。まさに、勤務地と運との戦いです。私の場合、ミシガンのそれも田舎町が勤務地だったので、日本語がペラペラのアメリカ人がいるわけもなく、すんなりこの段階はパスしました。

この待ち時間中はまたまた忍耐と低給料との格闘だったわけですが、ちょうどこの当時、リーマンショックの直後だったのもあり、上記に加えて、不景気による解雇の心配もありました。社内を見渡すと、多くのアメリカ人従業員が解雇されたり、10年近く待ってもグリーンカードが下りないインド人従業員が痺れを切らせて国へ帰ってしまったり・・・色々危機はありました。その上、自分のグリーンカード申請も却下にならないか毎日気が気でならなかったですね。でも恐らく、私の給料はグリーンカードスポンサーを餌に低く抑えられていたので、かえって解雇対象にはなりにくかったというのもあったかと思います。

上記のような状況が、アメリカで就労ビザや雇用ベースのグリーンカードスポンサーの雇用者で働くことには付き物になります。ついでに言うと、アメリカ人従業員にとって、特にH1bビザで働く外国人は、”アメリカ市民の仕事の口を奪い、全体的給与レベルも下げている”と思われているので(実際にそうなのですが)、かなり敵視されています。トランプ政権もH1bビザは廃止しようかと考え中ですし。社内でもそう言う態度や仕草を出してくるアメリカ人従業員もいるかもしれません。
そういった状況でも何食わぬ顔して堂々とやっていく強い志と根性がアメリカで働く外国人には必要と思います。合法で働いているわけですから、アメリカ人からとやかく言われる筋合いはないわけです。

今回は以上です。
もっとそれぞれの職場での詳しいお話はまた別の回でお話していきたいと思います。
ご覧いただきありがとうございました。







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