ようこそ。アメリカ移住者Yascoのブログへ! 兵庫県出身の関西人。1999年大卒で超就職氷河期世代。日本での人生に見切りをつけ、2003年9月に企業インターンとして単身渡米。2003年−2004年はフロリダ、2004年からミシガンに在住。その後、数々の就労ビザを繋いで、2012年にグリーンカード取得。2017年7月に米国市民権取得により日本国籍喪失。よって、現在は米国籍のみを持つ、日系米国人1世と相成りました。波乱万丈な元日本人の人生を日本人の皆様に少しでもご紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。

2019年12月12日木曜日

【米国 移住】日本脱出ブーム?

いつも、日本のニュースはYahoo Japanなどから入手しているのですが、ここ最近目立って増えている記事があります。ズバリ!日本の衰退についてです。

どこかの調査団体が日本の二十歳前後の若者数万人(?)を対象に、”日本の将来は明るいと思うか?”的な質問をしたそうです。”そう思う”と答えた若者はわずか2割弱しかいなかったとのこと。つまり、残りの8割が”日本はもう先行き暗い”と思っているということです。

個人的にはその調査結果に納得してしまいましたね。そもそも、私は就職超氷河期世代だから、当たり前といえばそうですが。就職が随分と容易くなったであろう現代の若者でも私ら世代と同じ感覚だというのはどういうことなんでしょうかね?

まぁ、私たち中年世代が老人になる頃には、日本の年金もあるかないかわからないらしいので(私は26で日本を出たので日本で年金はもらえないと覚悟しています)、今の若者が老人になる頃は年金ゼロになっていてもおかしくないわけで・・・。後は、少子化がどんどん進んで、日本国内に外国人が半分位になっているなんて言う日もそう遠くないかもしれないし・・・。

また別の調査では、日本人労働者の平均月給(手取り)を調査したらしいですが、1980代初めから2000年までの約20年間で平均月給が10万円増えたのに、2000年から2019年の約20年間でわずか2万円しか増えていなかったのが判明したそうです。これだと、毎年約2%のインフレ率(仮定)を入れてしまうと、逆に手取りが下がっているんじゃないか、ということになります。

こういう状況を踏まえての、若者の回答だったのだとしたら、悲しいですが、日本はもう若者にとって居心地の良い国ではないということでしょう。私も若い頃、正しくそう考えていたので、日本を出る決心をしたわけです。

ほんの10年くらい前のニュースで、日本の若者は”内向き志向”で、海外へ行きたい(住みたい)と思っている若者は少数派という記事をいくつか読んだ記憶があるのですが、そう回答した人たちは現在30代になっていると思いますが、今はどう考えているんでしょうかね?
私などは、二十歳になる以前、高校生くらいから、”将来どうやったら海外に住めるのか”ばかり考えていたので、その”内向き(国内)志向”というのがどうにも解せないなぁと思いながら、それらの記事を読んでいたのを思い出します。

しかし、ここ最近の若者は、ちょっと違っているようですね。上記の調査結果からも何となくわかりますが、日本の将来は暗いともうわかっているようなので、今後は海外志向の日本人が増えていくのかもな、と思ったりしている今日この頃です。

今回はここまでです。
次回は、日本脱出の続き、”では、どこの国へ脱出するのか?”などについて私の考えを語ってみたいと思います。

2019年12月6日金曜日

【アメリカ生活 経験話】アメリカ人の金銭感覚

今回は、アメリカの経済や景気、あるいは、アメリカ人の金銭感覚的なお話を私の経験からご紹介したいと思います。

まず、日本人のほとんどの人がご存知の通り、アメリカは戦後ずっと世界経済を牽引し続けていますね。人口は日本の1.5倍くらいでしょうか?最近のアメリカ経済の不景気といえば2008年暮れから始まったリーマンショックがまだ記憶に新しいですが、大体2012年くらいから始まった景気回復が今や最高潮に達していますね。ダウ平均は遂に28000ドルを超えてしまいましたし。そろそろバブルが弾けるなんて囁かれていますが、株価は上がる一方だし、つい先週のブラック・フライデーでのアメリカ国内の売り上げ高は過去最高だったらしいです(にしては、なぜかアマゾンの株価が下がっていますが・・・)。今朝発表された11月の雇用指数は、専門家の予想を遥かに上回って良かったらしいですし。

ショッピングと言えば、アメリカ人はクリスマス前にギフトを買いまくるのですが、どこかのリサーチによると、一人当たり平均で、約360ドルほどをブラック・フライデー頃からクリスマスまでに費やすそうです。これを聞いて、個人的には意外と金額が低いなと思ったのですが、その理由は、私の知り合いや親戚などは毎年クリスマス前になると、大きなクリスマスツリーの周りがギフトボックスで山積みになるのを目にしていたからです(大きいけど安い品のパターンもあるか・・・?)。

いや、本当に、アメリカ人の中産階級以上の金銭感覚は平均的に見ても、日本人の(私の知り合いの)それとは比にならないですね。特にクリスマスシーズンは半端ないです。もちろん、所得層にもよりますので一概には言えませんが、私の考える所、家とか家具とか車などの超高額商品は除いて、買い物に関しては”数日考えてから買う”という行動をする人にはあまり会った事がありません。ひと目見て欲しいと思ったものは速攻買いが基本だと思います。私は貧乏性なので、10〜20ドル以上くらいから良く考えて買い物してしまいます。

恐らく、アメリカ経済が今も世界一なのは、この平均的なアメリカ人の金銭感覚があってのことだろうと思います。実際に、アメリカ人の中で、”皆がどんどん買い物して初めて国の経済が回っていくんだ”と真剣に諭してくる人も多いです。ご尤もと思いつつ、日本人の癖で貯金に注力してしまいますが・・・。

貯金といえばですが、私は貯金という貯金はあまりしていません。やっているのは投資です。主に株とかファンドとかです。アメリカの労働者の退職金のほとんどがファンドで成り立っている401Kと呼ばれる投資ですので、元本が保証されていません。今から30年以上くらい昔から軍隊や米大企業でずっと働いているアメリカ人の中には元本が保証されているペンション制度に加入していて、退職時に保証金額を受け取れる人もまだ残っていますが、現在働いている人口のほとんどはもうペンションは保持していません。よって、アメリカ人の多くは、”お金を貯める=投資”という概念です。だから、多くの日本人のように”投資(特に株)=賭け”という考えを持つアメリカ人は少ないと思います。

そもそも金持ちの人でも銀行口座にお金を貯めておく、所謂”預貯金”をする人はそれほど多くないと思います。貯金するほどのお金がある人のほとんどは投資運用していると思います。残りの人口は、毎月収入はあっても、給料が入ってくるや否や速攻使い切ってしまって貯金するほどお金が残っていない人が多いですね。身内にも複数います、こういう人。

つまり、アメリカは経済が世界一と言っても、上述のように完全に二分化されてしまっているんですね。貧富の差が激しいと言われる所以です。

しかし、不思議と、裕福な人もそうでない人も、アメリカ人は平均的にかなり寄付をしています。教会に通っている人はもちろんですが、どの宗教も信じていない人でも年間平均2000ドルくらいは寄付金を拠出しているらしいです(連邦税務省IRSの数年前の情報によると)。ローカルのニュース番組を見ていると、家が家事で焼失したとか、事故に遭って怪我をしたとか、強盗に遭ってお金を盗まれたとかいう話が出てきますが、そう言った話の最後には必ず被害者によって設立されたGoFundMeという寄付サイトのアカウントへ寄付してください、という案内がされ、こういった場合のほとんどは目標額以上の寄付金が集まるそうです。あと、寄付は年がら年中どこでも勧められます。その典型が、ガールスカウトです。毎年決まった時期に(春?)あらゆる店先にガールスカウトの女の子達が机を並べて、不味い(本当に不味いんですこれが)、クッキーなどのお菓子を道ゆく人に売りつけようと必死になります。多くの人は大抵毎年この不味いクッキーを買ってあげるのですが、私はあまりに不味いのでもう今は買わなくなりました。それに、結構内容量のわりに高額なんですね、これが。しかも、こうやってせっせこ寄付金を集めても、ガールスカウト協会のお偉いさんが集金金額の8割以上を吸い上げてしまっているという話を聞いてから、余計にこれには寄付しなくなりましたね。それと、ガールスカウトに入隊できるような子供の親はそこそこ裕福なので、必要経費は親に払ってもらったらいいんちゃうの?と思ってしまいます。

あとは、スーパーや衣料品店や、ドラッグストアーなどありとあらゆる店で買い物すると、精算のついでに必ず、乳がんや心臓病や糖尿病や・・・あらゆる病気の撲滅キャンペーンとか、孤児のためとか色々な理由をつけて寄付するかを尋ねられます。こういうのがあまりに頻繁なので、最近はいつも”No"と言っています。まさにキリがないんです。なので、私の場合、寄付は動物愛護協会とか、サルベーション・アーミーという米国ではきちんとした寄付団体に対してのみ行っています。実は詐欺の寄付も横行しています。寄付精神が盛んなアメリカだからこそ、人の良心を利用している輩も多いのです。

少し、話が金銭感覚から脱線してしまいましたが、言いたかったのは、アメリカ人はショッピングにも大盤振る舞いしますが、寄付にも割とそういう傾向があるということです。
結論としては、アメリカの国内社会でお金が良く循環しているわけですね。それがあっての、アメリカ経済なんだと思います。

今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。


2019年11月28日木曜日

【アメリカ 生活 経験話】アメリカの近所付き合い

少しの間、ブログをお休みしていましたので、話題をビザや仕事から少し変えたいと思います。

ということで、今回はアメリカでのご近所付き合いについて私の経験談を話したいと思います。
まず、当然ながら、どういう住宅に住んでいるかや、住んでいる地域や周りの所得帯によって全然違ってきますので、そこら辺は個人差があるという前提でご理解ください。日本でも同じことですね。

私の住む地域は、ミシガンというアメリカでも地価が比較的安い中西部に位置しており、しかも都心のデトロイトの中心地から1時間弱くらい車で離れたところなので、治安は全米の平均かそれより少し良い方だと思います。それでも最近はたまに隣町に空き巣が入ったとかいう話を聞きますので、悪い人はどこへでも出張してくるんだという警戒心は決して緩めてはいけない地域だと思います。

皆さんご存知の通り、全米では銃の所有が認められています。これはアメリカ合衆国の憲法で保障された個人の権利ですので、憲法改正をしない限り、いくら銃規制を訴えても変わることはないでしょう。しかも、銃というのは相手を殺傷することができる反面、自分を守ることもできるわけです。例えば、ある日、我が家にいる時に突然強盗が押しかけてきて、銃を突きつけられた場合、家主も銃を所有していなければ殺されるしか選択肢は無くなってしまうので、私は個人的に良人が銃を所有することは反対ではありません。かと言って、開けっ広げに見せ付けるように銃を所持するのは(オープンキャリーという行為)どうかなと思います。このオープンキャリーが認められているかどうかは州法によって決められており、ミシガン州はオープンキャリーが認めれれている州のうちの一つです。ただし、ピストルを含むハンドガンについてはミシガンは規制が厳しいので、ライセンスをとって登録税を払う必要があります。ライフルやショットガンのような長い銃はハンティングを推奨している州だけあって、年齢以外ほぼ規制がありません。しかし、実際、近所でオープンキャリーをしている人を見かけることはほぼありません。
今まで、一度だけ、ハンティングが解禁中(ミシガンでは11月から冬の間は狩猟が解禁になります)に、うちの裏側のお隣さんは10エーカーほどあるだだっ広い土地を所有しており(うちは3エーカー)、そこに友人と思われる人がハンティングをしていて、討ちとめた鳥が我が家の敷地内に落ちたのか、ライフルを肩にかけたままうちの裏庭を小走りで駆け抜けていったのを目撃したときは驚きましたが。これが、ミシガンに住んで16年ほどでオープンキャリーをしている人を見た唯一の経験でした。

ということで、ミシガンに住んでいるほとんどの人は他人には言わないけど、銃を密かに所持している場合が多いと思います。自ら自分は銃を所有しているという人は少数派ですが、家に銃を所有しているか聞けば正直に答えてくれるアメリカ人がほとんどだと思います。

私の片方のお隣さんは、その少数派で、しょっちゅう自分の所有している銃の種類やいつ庭で銃の練習をしたか(するか)など、自慢気に話します。最初は流石に”怖いな、大丈夫かこの人?!”と思っていましたが、よく知った仲になってからは、”またこの話か”くらいに受け取っています。それどころか、このお隣さんは退職者で毎日ほぼ一日中在宅なので、うちらの住宅街(とは言ってもうちを含めて3軒しかないサブディビジョンだけど)の守衛をしてもらっているようなものと受け取っています。実際に、このご主人は(60代後半の白人)、今日はどんな人がうちらのサブティビジョンにやってきたかや怪しい人がうちらの私道へやってきたから注意するようにとか、向こう隣のどの家の人はどういう人物かなど、いろいろ近隣の情報を教えてくれ、たまに最近の地域で発生した事件や業者や店の話や家の修理の話やら、結構ためになる情報をくれるので、よく立ち話をしています。

上記のように、比較的、私は近所付き合いはしている方だと思います。逆に、街中ではなく郊外に住んで、あまり近所付き合いしない人は怪しがられるのがアメリカ社会だと思います。これは一軒家に住もうが、アパートなどの集合住宅に住もうが、変わりはないと思います。流石に、NYのマンハッタンのような、超人口過密地域で、しかも入り口に守衛が常駐しているような集合住宅に住んでいる場合は例外だとは思いますが・・・。様々な民族や人種が入り混じったアメリカ社会だから余計に近所の住人の人物像を知るということが重要なのかもしれませんね。
アメリカ社会では日本によくありがちな”共通の常識”や”以心伝心”的なものが通用しません。お互い話さないと理解することがあり得ないのです。
そういう意味で、新しい家に引っ越ししたら、日本以上にご近所へ回って自己紹介して小話をするということをなるべく早い時期にすることが重要になると思います。こういう意味でもやはり英語でのコミュニケーション能力というのは重要になってくると思います。

また、アメリカの多くの住宅街ではHOA(Home Owners Association)と呼ばれる自治会的なグループがあるサブティビジョンが多いですが、これが日本の自治会以上に厄介になる場合が多いです。ちなみに、うちは3軒しかないサブティビジョンなので、このHOAがありません。家を買う前にわざとHOAがないサブディビジョンを探しました。
なぜ、HOAが厄介かというと、まず、年会費が結構高い場合が多いです。もちろん住む地域にもよりますが、うちが住む地域ではおそらく年に$500は下らないと思います。これはサブティビジョンの大きさや住人の数によってまちまちですので、あまりこの数字はあてにはなりませんが・・・。HOA費はアパートやコンドなどの集合住宅でもあります。月の家賃に含まれている場合が多いですが、集合住宅はほぼ全てHOA費があると思って良いでしょう。
HOAのある住宅では、月一で会議があり、サブティビジョン内の道路の舗装や芝の管理などの話と、あとは誰の家のドライブウェイ(車付する各敷地内の道)に雑草が生えているので除草するように通達をしようとか、庭の草木がちゃんと手入れされていないので通達をしようとか、誰々の庭に落ち葉が溜まっているので通達しようとか、芝の管理が杜撰だから注意しようとか、誰々の家の外壁がちょっと傷んでいるので修理を要求しようとか・・・はっきり言って、近所の悪口や個人の自由の侵害になり得ることを言い合うことが多いようです。この”通達”というのも結構厳しいことが多く、期限が付けられていて、その日までに言われた通りにしなければ、罰金が課せられたりする所もあるようです。なぜ、ここまで厳しくするかというと、近所のある家の庭の管理や道路の管理が杜撰だとその家の価値が下がってしまうだけでなく、同じサブティビジョン内の別の家の価値も連動して下がってしまうからです。つまり、お金(資産価値)の問題なんですね。
もちろん、HOAがあるということは、お互いに治安の維持に努めていることにもなるので、良い相乗効果も期待はできます。しかし、それはHOAがなくてもできることです。

うちのサブティビジョンは、3軒しかないのもあって、お互い話すことがあれば、電話やテキストメッセージをするか、お互いのドアを叩いて直接お互いに話すようにしています。敷地内に、100メートルほどの私道があり、これはアスファルトで舗装されていない、土が剥き出しになった状態なのですが、この道路表面の管理(砂利を年に数度敷き詰める作業)や芝刈りや雪かきなどもお互いに自発的にしています(もちろんかかった費用は折半)。
こう言った作業を政治的に管理したい人はHOAの方が向いているかもしれませんが、うちらはどの家庭も肩肘張りたくない人達なので、HOA無しの方が向いていると言えます。多少、庭の芝が長くても、家の修理が完璧に行き届いていなくても誰も文句は言いません。お互い細かいことで言い合うのは嫌だからです。ゴミ出しもお互いの敷地の前にするのですが、ゴミがやたらと多くなった週は(特に夏場)、ガレージに貯めておくのが嫌なのでゴミ出し日の1、2日前から出しっぱなしだったりしますが、そんなことはどうでもいいとお互い考えています。日本なら恐らく考えられないですよね。

ということで、うちのご近所さんは、アメリカ人がよくいうLaid Back(ざっくばらんな性格)の人達で、同じ性格同士、上手くいっていると思います。しかも、毎日怪しい人が侵入してこないか見張っているお隣の親父もいいキャラを炸裂してくれているので、案外と助かっているわけです。(時々してくるトランプ自慢が鬱陶しい時がありますが、それも近所付き合いの一部ということで)

私が日本に住んでいたときは、近所付き合いというものをした記憶がほとんどないので、アメリカに来て、アメリカならではの近所付き合いで色々学ぶことが多くなっているような気がします。これは、近所付き合いだけでなく、仕事にも案外生かされることが多い(特にコミュニケーション能力)ので、自分のためにもなっているのではないかなと思います。

今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。


2019年10月31日木曜日

アメリカで働くということ〜職場の詳細情報−その2 アメリカ 移住 方法の解説

今回は、前回の投稿の続きのアメリカで働くことについてのお話です。



私は東京で新卒就職してから5年弱ほど一般企業でOLをしていたため、日本と米国での職場比較が容易なので、日本に住んでいる皆さんにとっては合点が行く話だと思いますが、まず、日本の職場では政治の話はタブーである場合が多いのではないでしょうか?

日本の職場で、例えば首相の悪口や政党の方針や選挙についての話をした記憶が私にはありません。多分、タブーだったからだと思います。恐らく、残業後の同僚同士の飲み会などでは話すこともあったかもしれませんが、まぁ、あまり話題に上がったことはないように思います。



私が渡米してから、インターン後に最初に正社員登用してもらった日系会社(H1bのスポンサー)で勤務していた時の上司は日本人の駐在員だったのですが、その人に、”アメリカでも職場であまり政治の話をするのは良くない”と言われたのを覚えています。

しかし、その同じ職場内でしばらくして、ブッシュ大統領の再選があったのですが、その選挙あたりになると、アメリカ人の同僚が熱い政治トークを切り広げていたんです!それを見て、驚いたことを覚えています。”職場で政治の話、めっちゃしてるやん、いいのかな?”と思ったわけです。でもその時は、その二人(中年アメリカ人男性)だからかなと思っていました。人数的にも10人以下の極小規模の職場だったから、皆お互いに仕事仲間というより家族のような雰囲気だったのも理由かもしれませんが。

それから、しばらくして、その職場を離れて、次の職場(大手日系)で働いていた時はなぜかあまり同僚が政治の話をしていたという記憶がありません。しかし、その数年後にアメリカ企業へ転職したのですが、やはりそこでは仲の良い同僚同士で結構政治の話をしていましたね。特に、ランチ時間中とか。当時はトランプが大統領選に立候補したところで、アメリカ人の政治・選挙に対する関心が爆発的に高まった頃だったというのが大きいと思いますが・・・。”今時、大統領になるには既に有名人になっていなくちゃいけないんか?!”みたいな話から、トランプやクリントンの悪口など、結構ぶっちゃけトークを繰り広げていました。だいたい皆の意見をまとめると、”どっちもどっち”という感じでしたが。

ちなみに、アメリカ人が政治の話をする時は、必ず自分はどっちの政党派かはっきり言うのが当たり前です。自己主張の激しいアメリカ人らしいですね。こと政治の話となるとこれがあてはまるんではないかと思います。これは職場でもプライベートでもどこでもです。逆に自分はどちらでもない(独立党派)などというと、どちらかはっきりするまで説得にかかるアメリカ人もいます(大きなお世話)。

逆にいうと、アメリカ人同士で政治の話になって、ちゃんと自分の応援する政党について語ることができない人は、あまり相手にされなくなります。もちろん、人にもよりますが、今特に、トランプがアメリカの政界をかき混ぜまくっているため、しっかり今の情勢に関して自分の意見を述べることができないと、”それでもアメリカ人か?!”と疑われるわけです。

流石に、職場で政治トークになって、相手に掴みかかってでも持論を繰り広げようとする人はいませんが、プライベート仲間でこういうシチュエーションになると、結構、半分喧嘩腰になり、面倒臭いな〜と思ってしまう場面が少なくないです。私はこういう場合は、相手の話をふんふんと聞いて納得して、とりあえず”あんたの言いたいことはわかったし、納得できる”みたいな応答をするようにしています。自分と応援する党が合致した場合は、話が弾む弾む(笑)。私のお隣さんは、60代後半の退職した白人男性で、大のトランプ派なので、毎日、庭で私と立ち話をする度にトランプの話になり、まるで自分の親戚か友達かのような自慢話をします。ちなみにこの人の友達の一人が、トランプのフロリダの別荘地でトランプ専属のゴルフキャディをやっていて、その人の口利きで、この隣人が昨年ホワイトハウスへ招待されて、大統領室へ入らせてもらったそうです。要は、そこまでの熱いトランプファンなんですね。毎日、”Make America Great Again"のロゴ付きの赤いキャップやT-シャツを着ています。ある意味、感心します。

私は、断固不法移民には反対なので、どちら派かと問われると、トランプ派(共和党)と答えています。なので、お隣の親父とは気が合うわけです。それを隣の親父も知っているので、いつも私にトランプ自慢を繰り広げるわけですね。

話が少しずれてしまいましたが、言いたかったことは、アメリカ人は職場でもプライベートでも関係なく、政治の話をする人は堂々とどこでもするんだ、ということです。だから、職場で政治トークはタブーというわけではなさそうです。あくまで、私の経験からの話ですが。

しかし、どこまで熱い政治トークをして良いかという判断基準はやはり、職場とプライベートでは明らかに線引きがされているように思います。

ただし、相手がアメリカ市民ではないとわかっている場合は、まず、アメリカ人は政治の話はしてこないでしょうね。選挙権がない相手に政治の話をするだけ時間の無駄だからです。逆に、選挙権がないのに政治の話をアメリカ人に持ち出すと、”あんたの意見なんか誰も気にしないよ”と言われるのが、せいぜいのオチでしょう。

また、余談になりますが、アメリカのメディア界は露骨なので、テレビ局によって共和党派か民主党派かにはっきり分裂しています。FOX系チャンネルは断然共和党で、CNNを始め、CNBCやABC、CBS系列は民主党です。なので、政治の話をしなくともアメリカ人にいつもどのテレビ局系チャンネルを見ているかを聞くと、どちらの政党派がすぐにわかってしまいます。ちなみに私は以前はCNNを見ていましたが、市民権を取得してからはCNNは一切見なくなりました。フェイクニュースとキチガイレベルのトランプへのやっかみが見ていられないレベルになってきたので。今は主にFOX系ですね、全米ニュースを見るときは。ニュースキャスターの言っていることがFOXの方が明らかに常識的で妥当だと思います。

今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。

2019年10月29日火曜日

アメリカで働くということ〜職場の詳細情報

過去の回で、ざっくばらんにアメリカ社会で働くことについてご紹介しましたが、今回はさらに踏み込んでアメリカの一般的な私企業の職場での日常的な雰囲気とか文化や慣習についてお話ししたいと思います。

ただし、私のこれからお話しする内容はあくまで、私の過去17年間ほどにおける、アメリカ自動車業界でのごく一般的な企業(日系5社+米系1社)のオフィス内での勤務経験に基づいたものなので、当然ながら、個人差が大いにあると思います。その点はある程度差し引きして読んでいただければと思います。要は”人による”話ということで・・・。

まず、アメリカの社会人の朝は早いということは以前もお話ししたと思いますが、それはなぜかというと、アメリカの子供のいる一般家庭では、親が子供の学校の送り迎えをする必要があるからだというのが理由の一つだと思います。日本のように子供を徒歩で自分たちだけで登校させることはできません。親が学校まで送り届けるか、スクールバスのバス停まで見送るかですが、まず、スクールバスの出発が学校によっては異常に早かったりするようです。住む場所にもよるそうですが、早い所だと朝7時くらいにはバスがピックアップにやってきます。アメリカでは子供が13歳くらいになるまで、一人で家で留守番をさせられないため、子供が登校する瞬間まで親が面倒を見なくてはいけません。
以上のような理由もあり、その他の家庭事情(あるいは、単に夕方早めに帰宅したいだけの理由もあり)によって、朝7時半とかに出勤する人はざらにいます。ですので、朝8時から会議とかはよくあります。子供のいない従業員にとっては迷惑千万なんですね、これが。
おまけに、ミシガンの場合、悪天候・寒すぎる(冬)とか学校へ襲撃脅迫状が届いた(アメリカならでは)とか水道・電気・ガスが止まった、先生のストなどの理由で学校がすぐに休校になります。それらの理由に加えて、子供が風邪引いたりして学校に行けない日は親はナニーを雇うか、その経済力がない(あるいはケチな)親は自分の仕事も休むか在宅勤務願いを出します。だから、同僚が突然当日になって休むことになったという事がよくあります。もちろん、職種によっては減給になる場合もありますが、普通の一般企業であれば上司も部下も子供に関してはお互い様という事でこういうドタキャン・在宅勤務もしくは欠勤はお咎めなしが普通です。
しかし、従業員の中には、せこい人もいるもので、これを逆手に利用して、子供の調子が悪いとか言って子供を頻繁に病気に(なったことに)して当日に在宅勤務希望をする人をちょくちょく見かけます。こうすることで、有給やシックリーブ(病欠用の休暇)を使わなくて済むのでね。こういう人は決まって、”何か私に用事があれば携帯にいつでも出られるので、電話してね”というので、実際に電話すると、まぁ出ない(笑)。アメリカはシングル・マザーやファーザーが多いので仕方がないといえばそうですが、これが嘘だとバレる場合もあり、その場合はいずれ首がかかります(当たり前)。
これは私が働いていた日系企業でも米系企業でもどちらでもよく見かける光景でした。というのは、アメリカでは何系企業でも従業員一人ひとりの人事考課は毎年しっかりと実行されるので、ここで欠勤が多いと減点され、ボーナスや昇給に響きます。最悪、首が言い渡されます。

上記に加えて、車通勤が基本の地域に住んでいる場合は、渋滞事情によって毎日きっかり同じ時間に出勤するという事がほぼ不可能なので、毎日皆出勤時間が30分くらいの範囲でまちまちです。いつもの通勤ルートで事故が1件でも発生すると道路が封鎖されることもしばしばで渋滞にどっぷり1時間くらいハマる場合もあります。ただし、朝会議の予定がある場合はもちろん例外です(それでも遅れてくる人もいるが)。とりわけ、アメリカ企業の職場では、一人ひとりが時間きっかりに出勤してきっちり時間まで働いているか見張っている人はほとんどいないと言っていいでしょう。日系企業ではマイクロマネジャーと言って、従業員一人ひとりの細かなミスや欠点を見つけたがる上司が多かったですが、アメリカ人(あるいは日本人以外の)上司は、従業員に与えられた年間パフォーマンス目標さえ達成していれば毎日の勤務時間はほぼ気にしないという感じでしたね。遅く来たら、その分遅くまで勤務さえしていれば誰も文句を言いません。
またこれ以外にも、午後に子供を学校へ迎えに行った後、習い事へ連れていかなければならないという理由で(大概のアメリカ人男子はアメフト、女子はサッカー)、2、3時頃に退社して残りの時間は在宅勤務にするという人もいます。まぁ、こういう人は、残りの時間は子供につきっきりになるので、在宅勤務なんかしていないのが普通ですが(携帯に電話しても出ないのでバレバレ)・・・。

以上の状況が一般企業のサラリー職(年俸制)での常識ですが、同じ企業の従業員でもシフト・時給制の職種(ブルーカラー職やサービス業あるいはパート職員)の人はこれができません。遅刻・早退したらその分減給になるのでね。なので、アメリカである程度以上の高学歴者はシフト制の仕事には就きません。必然的にシフト制の職業についている人は高卒やコミュニティカレッジ程度の学歴しかない人がほとんどになります。もちろん高学歴でもシフト制職はありえますが、その分かなりの高額給料やら特典をもらっているはずです(でも時給制ではないはず)。

また、これもなんとも不公平感満載なんですが、アメリカの職場では、同じ企業の同じ社歴・階級の従業員でも就く職種によって結構な格差がある場合が多いです。オフィスワーク職より技術職や営業職の方がかなり優遇されている(昇進が早い)のはほんの一例です。また、上司やチーム・部署によってもかなり勤務条件に差があります(時短勤務や在宅勤務の許可レベルなど)。それに、同じチーム内の似たような職種でも、タイトル(役職名)の微妙な違いのため(Account ManagerとSales Managerなど)、職務評価の基準や難易度に明らかな差が発生しているという事が珍しくありません。私が考えるに、人事部には従業員一人ひとりに対する実績目標や給与・ボーナス額の決定権がないため、最終的には各上司の自己中心的な好き嫌い(依怙贔屓)での判断になってしまう事が多く、それが昇進スピードにも影響し、職歴が浅くて職務能力も並な上司のお気に入り社員が職歴が長くて優秀な社員より上のレベルへ昇進してしまい、給与も後者よりかなりもらうという事態が発生してしまうのだと思います。この給料(ボーナスを含めた年俸)の差に関しては、特に雇用者が就労ビザのスポンサーである場合は、大抵の職場では低く抑えられます。また、同じ学歴と職歴を要する同じ職務内容でも、米系(あるいは非日系)企業の方が日系企業より遥かに給与基準が高いです。なので、一度米系企業で高い給与をもらった経験のある人は日系企業では働きたがりません。私も米系企業で働いてからそう思うようになりました(それに気づいた日系企業は最近給与基準を上げてきていますが)。
よって、日本のように社内の皆が平等な条件下(給与、昇進を含め)で勤務していなければならないというルールは(一応全社的人事方針はありますが)、実質的には実行されていない職場が多かったですね。もちろん日系企業は日本本社の手前もあるので、この点は米系企業より平等性が高いとは思います。でも、こちらの日系企業のほとんどが既に現地化しているので、現地人(日本人以外)が上司である場合が多いです。
そもそも、アメリカではその企業に入社する際に雇用契約書に署名する事が求められ、そこに各人の置かれた職務条件がぎっしり記載されており、それに署名するということはその書面上の一言一句を受け入れたということになるので、文句があるならその企業で働くことを拒否すれば良いだけ、という話になります。

おまけに、雇用契約書と共に、ミシガン州を始め多くの州では”At Will Employment"に対する合意書にも署名を求められます。このAt Will Employmentとはどういうことかというと、雇用者、従業員のどちらからでも雇用契約解除を申し出られるということです。要は、雇う側も雇われる側も、相手が嫌になったら首切るか辞める事がいつでもできるということです。もちろん辞職する場合は、きちんと辞表を提出する事が基本原則です。どれくらいの猶予が必要かというと、たったの2週間です。なので、実質、こうなると次の人への引き継ぎはできないんですね。でも会社は文句が言えません、州法には違反していないし、会社側も2週間くらいで従業員を解雇できるからです。正にどっちもどっちという話・・・

こんな感じなので、アメリカでは解雇や従業員自らの辞職(大概は転職が理由)は日常茶飯事です。

ちなみに、転職による辞職ですが、アメリカでは現職で働いている間に転職活動をして次の仕事が決まってから次の職場での勤務開始日の2週間前に辞表を提出するのが普通です。次の仕事が決まっていないのに、ただ単に現職が嫌だからといって辞める人はほとんどいません(私の周りには)。こうする事で、次の雇用者と給与交渉する際に有利になるからです。現職より高い給与を提示しなければ次の職場へ誰も移ってきてくれないのはアメリカ社会で働く者にとって常識です。
このため、アメリカで転職する場合の十中八九は、転職=給与アップになります。アメリカでは減給になるのに”やりがい”があるからと言って転職する人は99%ありえません。そもそも”やりがい”なんてアメリカ人は仕事に求めていないのです。働くのはあくまで生活のためです。やりがいなんてどうでもいいというのが一般的な考え方ですね。私はこの考え方に賛成です。なので、アメリカ社会で働くようになって仕事に対してかなりドライになりました。日本では転職面接の際でもお金の話をするのが御法度のような雰囲気になりますが、アメリカではまずお互いが考える希望給与枠のすり合わせから始まります。いくらお互いを気に入っても、希望給与がマッチしなければ採用にかける時間と労力の無駄になりますから。
その上で、転職者は給与交渉の際にできるだけ高い希望を出して高値を取り付けておく事が肝心になります。自分の経歴やスキルの安売りは禁物ですし、各職場で働き始めた時の給与がベースになって、その後のボーナスや昇給が%率で査定されるので、勤務開始時の給与額が高ければ高いほどその後の全体報酬額も高くなるというわけです。
逆にいうと、現職の給与アップを狙って、辞職する気は無いのに転職活動して次の職場から雇用契約書(オファーレター)だけ取り付けて、それに署名する前に、現職の上司へその話を持っていき、”現職の給料上げてもらわないと転職しちゃうぞ”とカウンターオファーする凄技をやる人もいます。私は個人的にそれをすると現職に残った場合、気まずくなるのが嫌なので、今までやった事がないですが、こうするアメリカ人は結構います。もちろん、これは結構な賭けになるので、現職から”どうぞ転職したいなら出て行ってもらって結構”と言われる結果になる可能性も高いですが、そうなったらオファーもらった職場へシンプルに転職すれば良いだけの話なので、やってみる価値はあると私は思います。でもくれぐれもきっちり次の職場の採用担当のサイン付きのオファーレターを受け取って転職が確実になったことを確認する事が重要です。

さて、またまた、長文になってしまったので、続きのお話は次回にしたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました。


2019年10月24日木曜日

私がアメリカ人になった理由〜米国市民権取得の決断 私のアメリカ 移住 方法の解説

前回までに、私がどのような就労ビザを取得して渡米してこれまでアメリカで働いてきたか、また、どうやって雇用ベースのグリーンカードまでたどり着くことができたかの苦労話をご紹介しました。

今回は、その後、なぜ、私が米国市民権(アメリカ国籍)を取得する事にしたのかをお話ししたいと思います。と言うのも、私の知る限りで言うと、在米日本人のほとんどはグリーンカードを取ったらそれで目的達成となり、米国市民権には興味がありません。永遠にグリーンカードを維持するつもりの人がほとんだと思います。その一番の理由は、みなさんご存知のように、日本国憲法で二重国籍が禁止されているため、”日本国籍を喪失したくない”、と言うことだと思います。私も、米国市民権を申請する前にその事で少し悩みました。また、次に多い理由は、”いずれ老後は医療費の安い日本で暮らしたい”、だと思います。これも良くわかります。アメリカの医療費は高騰する一方ですから。

私も実は、グリーンカードをずっと保持するつもりでした。色々と老後のことをしっかり考える前までは。日本国籍を捨てる心の準備ができていなかったのが、正直なところ。
そこで、まず、実際に、自分は日本とアメリカのどっちで老後を過ごしたいか自問自答しました。私の答えはアメリカでした。そもそも、私は渡米する際、アメリカで骨を埋める覚悟でやってきました。ですので、この答えは最初から出ていたと言ってもいいでしょう。とは言っても、老後は1年のうちの数ヶ月くらいは日本で過ごすつもりです(体力と健康の限り)。家族や友人がまだ沢山いますからね。でも、あくまで拠点はアメリカだな、と言う結論に至りました。
そこで、思い返すと、私は日本で戦後の第2次ベビーブーマーとして生まれ育ち、凄まじい受験戦争に揉まれ、大学卒業の頃には折しもの超就職氷河期に合い、日本政府から見捨てられた世代としてかなりの苦労を強いられた部類の一人です。そんな日本社会(政府)にはもう期待しないことを決心して身一つでやってきて、アメリカで運にも恵まれ、それなりに良い人生を送るチャンスを与えてくれたのは紛れもなくアメリカ政府(就労ビザやグリーンカードを許可してくれたわけですから)だと気付いたんですね。だったら、自国民に一切チャンスを与えてくれなかった日本より、数々の人生再起のチャンスを与えてくれたアメリカに恩恵を返すべく(税金を払いながら)残るべきではないかと思ったのが一番の理由でした。つまるところ、子供の頃から受験戦争などで努力・葛藤したにも関わらず、就職氷河期世代になってしまったが最後、日本社会の恩恵は何も受けられなかったし、これからも受けることはないだろうと確信してしまったのです。年金だって、日本ではもう我々の世代が老人になる頃は受給額があるかどうかすらわかりません。それに対して、アメリカの人口は今だに増加傾向なので、今後も年金がゼロになることはあり得ません(私の場合、受給額も日本の数倍になるし)。だったら、今まで日本政府に苦渋を吸わされた分、アメリカ人という外国人としてこれからは日本へ行って”おもてなし”をしてもらおうじゃないの、という結論に至ったのです。

もちろん、税金を払う以上アメリカの大統領選挙で投票したいというのも理由の一つです。あと、後付け理由ですが、アメリカで今後も人生送っていくには、やはりアメリカ国籍を取得してアメリカ人になった方が様々な面で有利になるためです(特に訴訟問題に巻き込まれた場合など)。”グリーンカード保持者はほぼアメリカ人と同等レベルと見なされる”と思っている在米日本人永住者が多いですが、これは転職の際の条件に限っての話です。当のアメリカ人に言わせると、グリーンカード保持者はあくまで外国人なので、はっきり言って、2等級市民(部外者)扱いです。そうです、アメリカという国(政府)は基本的にいつの時代でも自国民を優先し、外国人ははっきり言って国にとってどうでも良い存在です。”アメリカが嫌ならとっとと国へ帰れ”、と外国人に向かって堂々と言うアメリカ人は多いです(ご尤も)。その証拠に、ただの永住権保持者とアメリカ国籍者とでは、連邦政府から受け取れる社会保障や金額にも大きな違いがあります。当然ながら、アメリカの保証制度はアメリカ国民のみのためにあるため、年金や障害者保険、雇用保険などの中には、永住権保持者でも受け取れないものがいくつかあります。そのため、私の出席したアメリカ市民権の宣誓式では、職員の人が、この式が終わったら速攻でソーシャルセキュリティ・オフィス(社会保障事務所のような所)へ行って、アメリカ国籍を取得したことによるステータス変更手続きをするように言われました。アメリカ国民にしか享受できない社会保障が沢山あるからだと言っていましたね。

また、これは最近に限っての話ですが、にわかにトランプを追い出すことに躍起になっている民主党に言わせると、在米外国人は将来自分たちの味方になってくれる存在と期待していますが、その外国人が将来アメリカ人になったら民主党に投票するとは限りません。恐らく、その反対になるでしょう(あくまで私見)。しかし、思い返すと、クリントンやオバマですら不法移民の追い出しに躍起になっていたし、9.11以降はどちらの政権下でも合法移民制度は厳格化する一方です。だから、過去、どちらの政党が大統領になってもアメリカと言う国はアメリカ国民を優先する(自国民保護主義)スタンスは変えていないわけです。この点からしても、外国人を自国民より優先する日本政府とは全く逆ですね(就職氷河期世代より外国人労働者を優先しているわけですから)。でも、国としてアメリカのやっていることが正しいと私は思います。自国民を尊重しない国はいずれ滅びるでしょう。

また、これはさらなる追加理由になりますが、アメリカの移民法は大統領が変わる度にコロコロ変更されます。今のところ、グリーンカードを最低5年保持で市民権の申請資格が得られると言うのは基本ルールになっていますが(例外で3年保持)、これがいつの日か5年ないし10年かそれ以上にならないとは限りませんし、審査要件も一層厳格化してほとんどの永住者が実質帰化できなくなる、なんてことが全くあり得ないとは誰も断言できないでしょう。また、あらゆる就労ビザやグリーンカード発行数も既に実際に減少しています。そこで、”取得できるうちに取得できる権利を取っておく”というのはあながち間違った考え方ではなかろう、と思ったわけです。

ちなみにですが、在米日本人永住者が多く考えている、”老後は日本とアメリカで半々の生活をする”と言う計画ですが、この計画をグリーンカードのままですると、だいたい2年目くらいで、次に米国へ入国する際にグリーンカードを米国政府に没収されてしまいます。永住権の規定で、グリーンカード保持者は基本的に米国に継続的に居住して社会貢献する(納税など)ことが要件になっているため、毎年50%以上の期間をアメリカ国外で過ごしていると(出張・駐在も含め)その要件を満たしていないと見なされるからです。これは市民権申請の際も問題になります(申請却下される可能性も)。もちろん、この規定の免責許可を取ることもできますが、せいぜいそれができるのは人生で1〜2回くらいらしいです。と言う以上の事実を、私なりの調査で発見しました。これもあって、市民権を取ることにしました。アメリカ人である限り、どれだけ国外滞在していてもアメリカ入国を断られることはあり得ません。それに、日本は血族主義なので、元日本人は簡単に長期滞在許可(3−5年)が取得でき、これで自由に日本で働ける上、日本に1年以上居住していると永住権も取得できます。まさにWin-Winだと言うわけです。(これをWin-Winと思うかどうかは個人差ありますが)

さらに余談ですが、以上のことを知った上で、日本国籍を捨てる覚悟ができないまま成人になってから自分の意思で米国市民権を取得する在米日本人は実は多いです(インターネットなどで見かけますし、口コミでも聞きます)。つまり、勝手に自分を”自称”二重国籍者にしてしまっている人たちです。こう言う人は、甘い日本の入国審査を利用して、日本へ入国する際は日本のパスポートを見せ、アメリカへ入国する際はアメリカのパスポートを見せているようです。まさに、日本とアメリカのいいとこ取りをしようとしているわけです。しかし、これははっきり言って犯罪ですよね。日本の入国管理法か何かの違反になるはずです。見つかれば2度と日本に入国できなくなってしまいます。

ちなみに私は、何事もあやふやにしておく事が嫌いなため、米国市民権を取得した直後に、”国籍喪失届”を在米領事館へ提出しました。これで、私の唯一の国籍はアメリカになってしまったのです。もちろん、自分の決断なので、後悔はありません。
次に日本へ行く時は、日本の入国審査で外国人の列に並ばなくてはならないのが、玉に瑕ですが・・・

今回は以上です。
ご覧いただき有難うございました。

2019年10月21日月曜日

アメリカ就労ビザとの格闘〜雇用ベース永住権まで  アメリカ 移住 方法の解説

前回は、”アメリカ社会で働く”ということについて語りましたが、これはアメリカ人、外国人関わらずアメリカで働く者にとっての(私の経験値からの)、一般論でした。
今回は、その話を更に深く掘り下げて、”日本人(外国人)にとってアメリカ社会で働くとは”についてお話ししていきたいと思います。

まずもって否応にも考えなくてはいけないのが、アメリカで外国人が働くために必要なもの、そうです、就労ビザです。前々回でも言いましたが、この就労ビザを経ずにいきなりグリーンカードを取得して就労権を得る人もいますが、これは私を含めてほとんどの人には当てはまらないので、この話は除外します。それに加えて、駐在員として、会社に就労ビザや渡航後生活を手配してもらって渡米するパターンも私にとっては全く異次元の話なので、除外します。
要は、基本中の基本である就労ビザから雇用ベースのグリーンカード取得まで、自力渡米から始まった長年にわたるの精神的格闘生活のお話をしたいと思います。私にとってこれは言わば、人生をかけた実力と運の真っ向勝負でした。たった一人ぼっちの戦いです。頼れるのは自分しかいない、という孤独との戦いでもありました。
私の場合、最初の就労ビザ獲得からグリーンカード取得まで、実に9年弱かかりました。
では、ここまでに至る苦労話をしていきたいと思います。


これまでの回でも何度もお話した通り、私の日本からの渡米はJ1ビザでした。J1ビザ取得は割とスムーズにいき、申請期間は3ヶ月強ほどだったと思います。いざ渡米して、ここから苦労の連続でしたね。まず、既にお話した通り、6ヶ月後にJ1ビザの主目的であったインターン職がなくなり、全米で転職活動をし、フロリダからミシガンへ引っ越し、そこからH1bビザ取得がかかった勤務生活が始まりました。

アメリカで就労ビザを取得するには、職場である雇用者にスポンサーになってもらわなければなりません。これが結構クセものなのです。普通、(特にアメリカでは)雇用者と従業員は割と対等な、持ちつ持たれつの関係ですが、就労ビザが絡むとそうはいきません。完全に、スポンサーである雇用者が被スポンサーである従業員より強い立場になります。完全なる上下関係です。それもそのはず、雇用者にとって従業員のビザスポンサーをするということは、アメリカ政府に対して、”この従業員のアメリカ生活の面倒を一切ウチが保証します”と弁明する必要があるからです。その証明をするには、アメリカ政府へ払うそれなりの金額の申請費用が会社持ちになる上、会社の財務状況が適切であることもアメリカ政府に証明しなければなりません。要は、従業員一人のビザスポンサーをするだけでもかなりの労力とお金がかかってしまうのです。しかも、給与はアメリカ人の同職種労働人口と同等でなければなりません。はっきり行って、就労ビザは雇用者にとってかなり”余計なお荷物”になるのです。よって、そういうお荷物を背負ってでも雇いたい特殊能力(超能力とかではなく)と素質があると認められた従業員にしかビザのスポンサーはしてもらえません。
ここで、特殊能力として有利になるのは、エンジニア系や医療系、会計金融系などが特にそうですが、日本人の場合、アメリカに進出している日系企業が多いので、日本語を常時必要とする職務の場合は日本語能力も有利になります。ただし、H1bビザの難しいところは、最低でも4大卒の学歴が必要な上、その専攻内容と職務内容がきっちり合致していることが最低条件になりますので、ご留意を。
ということで、日本人の場合、一番就労ビザの可能性が上がるのが、日系企業に就職することだと私は思います。米国やその他の国籍企業でもビザスポンサーの可能性はありますが、エンジニア系に限られる上、日本語能力はほぼ必要なくなるので、他国籍者との競争になります。こちらの方が競争率が高いかもしれません。その上、景気が悪くなるとすぐに解雇の危機に陥りますので、リスクは日系に比べて高くなるように思います。

私の場合も雇用ベースのグリーンカードまで日系企業にお世話になりました。
まず、J1ビザで最初の1年間を過ごし、その間にきっちり時間通りに勤務し、残業も毎日のようにし、上司にも口答えせず(途中何度かビザスポンサーをチラつかせられ黙らされた)、忍耐強くひたすらにH1bビザを狙って頑張った甲斐があり、すぐに会社にH1bビザ申請に入ってもらうことができました。

しかし、上記で述べたように、この場合、雇用者が立場的に上で従業員が下という構図が完全に出来上がってしまうので、ビザスポンサーという恩義を受ける従業員は、常時会社の意思に従わなくてはなりません。この”会社の意思”には、給与額や勤務体制、勤務地、出張の頻度など多くの要素が含まれます。多くの場合、雇用者にビザスポンサーになってもらう従業員の給与は最低限度まで低く抑えられます(ビザ申請の合格範囲まで)。ビザ申請に余分な経費がかかってしまうから仕方がないといえばそうでしょう。また、他の従業員が受け入れ難い面倒な出張や出向が必要になると、その打診をされる可能性が多くなり、そうなると断ることはできません。断って、ビザスポンサーを打ち切りにされたらたまったものじゃないからです。あとは上司や同僚と関係がうまく行っていなくても、黙って耐える必要があります。日本で、”こんな会社出て行ってやる!”なんて言って出ていける状況でも、アメリカで就労ビザ保持者がそれをすると、速攻国外退去に繋がりますので、禁物です。ですので、こちらで、就労ビザで働く人たちがよく冗談交じりにいう諺に”Bite the bullet(弾丸を噛んだまま相手のいいなりになって辛抱する)"というのがありますが、まさにその状況を私は幾度となく経験しました。それもこれも全て就労ビザ取得のためです。多少嫌な上司や同僚がいても、就労ビザが手に入るんなら、長い目で見てどうってことない、と思うようにしていました。

みなさん、もうお気づきかと思いますが、はっきり言って、アメリカで就労ビザで働くにはかなりの辛抱強さと気の長さが必要になります。間違いなく、普段から頭のフューズがすぐ飛んでしまうような人は就労ビザは向かないと思います。私の場合、この生活が約9年でしたので、グリーンカードが取れた時の喜びは人一倍大きかったですね。

私はH1bビザを計6年間保持していたのですが、その間、初回取得3年後に更新してその直後に転職をしました。H1bビザ保持中に転職もできます。しかし、その場合、新しい雇用者によるH1bの雇用者変更手続きが必要になります。私が更新と内容変更手続きをした当時は、初回申請時のような厳しい審査は必要なかったのですが、現在は初回申請と同等レベルの審査が必要になっているようなので、H1bビザ保持中に転職するのはなるべくもう今は避けたほうが無難だと思います。
そして、私の場合、H1bビザの2つめの雇用者に転職する際に、H1bビザが満期になる前に雇用ベースのグリーンカードのスポンサーをしてもらうことを合意に含めて入社しました。こちらで転職する際は、必ず詳細条件を記載したオファーレターをもらうのですが、今後の就労ビザの条件も書面に含めてもらう必要があります。

そして、この2つめのH1bビザスポンサーで働き始めて1年ほどしたところで、私の(インド系カナダ人)上司からそろそろグリーンカードの申請をし始めた方がいいのではないかと打診してもらい、その会社の顧問移民弁護士に申請開始してもらいました(ここでは弁護士費用は私と折半)。ここでも良い上司に恵まれたようです。考えてみれば、最初のH1bビザ雇用者の上司も2つめの雇用者の上司も彼ら自身アメリカで就労ビザを取得した経験がある人だったので、同じような立場の従業員にも理解があったのだと思います。逆にいえば、就労ビザ云々に一切興味と必要がないアメリカ人上司だとどうなっていたかな、と思います。

さて、ここからがさらなる忍耐でした。当時、2009年頃でしたが、雇用ベースのグリーンカード申請は長蛇の待ち時間を要しており、私の場合(EB3カテゴリー)は申請時点で5年待ちと言われました。結局、最終的には3年ちょっとで取得できましたが。ちなみに雇用ベースのグリーンカードは国籍ごとに年間発行数が決まっており、日本人は当時5年、インド人や中国人に至っては10年以上待ちでしたね。5年待ちはまだマシな方だったのです。この待ち時間は申請時の移民法や申請状況によって全く違ってきます。アメリカの移民法は驚くほど政権によってコロコロ変わるので注意が必要です。ただ、全体的にどのビザでも永住権でも厳格化傾向ではないでしょうか。

この雇用者ベースのグリーンカードの申請中は雇用者の変更ができません。つまり転職は基本的にできないのです。基本的にはできないですが、転職禁止ではありません。ただし、その場合、申請が一からやり直しになりますので、大変なリスクがあります。そして、H1bビザはグリーンカード申請中に失効してもグリーンカードの審査が下りるまで例外的に更新し続けられます。
H1bビザと雇用ベースのグリーンカードの申請条件の違いは、H1bビザは大学専攻内容と職務内容とがきっちり合致が条件ですが、雇用グリーンカード(EB3)の場合は、現職が現地のアメリカ人または永住権保持者にはできない内容であることが条件です。よって、グリーンカードの申請の第一段階で、実際に現職の公募をしなければなりません。確か2週間くらいだったはずです。この公募期間中に職能資格が合致する人物が現れたらグリーンカード申請は却下になります。まさに、勤務地と運との戦いです。私の場合、ミシガンのそれも田舎町が勤務地だったので、日本語がペラペラのアメリカ人がいるわけもなく、すんなりこの段階はパスしました。

この待ち時間中はまたまた忍耐と低給料との格闘だったわけですが、ちょうどこの当時、リーマンショックの直後だったのもあり、上記に加えて、不景気による解雇の心配もありました。社内を見渡すと、多くのアメリカ人従業員が解雇されたり、10年近く待ってもグリーンカードが下りないインド人従業員が痺れを切らせて国へ帰ってしまったり・・・色々危機はありました。その上、自分のグリーンカード申請も却下にならないか毎日気が気でならなかったですね。でも恐らく、私の給料はグリーンカードスポンサーを餌に低く抑えられていたので、かえって解雇対象にはなりにくかったというのもあったかと思います。

上記のような状況が、アメリカで就労ビザや雇用ベースのグリーンカードスポンサーの雇用者で働くことには付き物になります。ついでに言うと、アメリカ人従業員にとって、特にH1bビザで働く外国人は、”アメリカ市民の仕事の口を奪い、全体的給与レベルも下げている”と思われているので(実際にそうなのですが)、かなり敵視されています。トランプ政権もH1bビザは廃止しようかと考え中ですし。社内でもそう言う態度や仕草を出してくるアメリカ人従業員もいるかもしれません。
そういった状況でも何食わぬ顔して堂々とやっていく強い志と根性がアメリカで働く外国人には必要と思います。合法で働いているわけですから、アメリカ人からとやかく言われる筋合いはないわけです。

今回は以上です。
もっとそれぞれの職場での詳しいお話はまた別の回でお話していきたいと思います。
ご覧いただきありがとうございました。







2019年10月18日金曜日

アメリカ社会で働くということ  アメリカ 移住 方法の解説

前回は私がどのように米国移住したかや取得した就労ビザについてのお話をしましたが、今回は、アメリカでの私の社会人経験に基づいて、アメリカのビジネス社会で働く、ということについて語りたいと思います。



私は現時点で在米社会人歴が17年目になりました。この間の約16年は普通の企業で会社員、ここ1年は在宅自営業で翻訳業をしています。

渡米直後からマイアミでの半年間はインターンでしたが、ミシガンに引越ししてきた2004年3月からはずっと様々な企業で正社員として働いていました。自営業になるまで、転職は計6回です。

まず、ミシガンにてアメリカで初めて正社員として働き始めた時に気付いた事は、”アメリカ人の朝は早い”という事です。ここは小さな日系企業でしたが、私の職場に日本人は私を含めて8人中3人でした。そのうち一人は日本からの駐在員でした。残りは全員アメリカ人でした。そのうちの一人は朝7時には職場へやって来てオフィスを開けて4時には帰宅という感じでした。朝9時始まりが日本では普通だったので、よくそんなに朝早くから出勤できるな、と感心していました。でも、次の職場では朝6時から働いている人もいたので、アメリカでは特別な話ではありません。シフト制のサービス業とか工場勤務ならこれが通常ですが、どちらも普通のオフィス勤務職です。そうです、意外とアメリカ人は時間にきちっとしている人が多いし、勤勉なんですね。日本にいる時は、何となく”日本人よりも適当に働いているんだろう”、なんて思っていました。とんだ勘違いだったと言うことが現地で体験してわかったわけです。もちろん、ほぼ毎日遅刻してくる人もいますが、そういう人は少数派です。それにそういう人はいずれクビになります。

そして、何と言ってもびっくりだったのが、アメリカは祝日が日本に比べて格段に少ないという事です。私企業が一斉に休みになる祝日は年間10日ほどしかありません。もちろん、会社や業界によっては独立記念日やサンクスギビングやクリスマスの週が休みになるところもありますが、基本的にそうするには各自の有給を強制的に使わされます。日本のお盆や正月休みのように有給使わずに丸1週間休めるわけではありません。
その有給も年間10日が基本です。社歴が長くなればなるほど有給日数が増える企業が多いですが、最低でも5年働いて初めてもう5日増えるとかです。
日本ではよく”欧米人は1ヶ月やそれ以上休みを取ってバケーションに行く”というイメージがあるかもしれませんが、恐らくそれはヨーロッパだけの話でしょう。アメリカで有給がたっぷり残っている場合でも1ヶ月も職場を空けると、もう帰ってくる頃には誰か他の人に仕事を奪われていると思った方が良いですね。
これは、残念ながらマタニティー休暇にも言える事です。日本では女性の職場進出を促進するため、1−2年のマタニティ休暇を取るのが普通になっているようですが、アメリカの女性でそれをするのは、出産後あまり職場復帰を真剣に考えていない場合のみですね。そもそも大抵の大企業であっても有給マタニティリーブは精々3ヶ月ほどで、それ以降は給与が半減または無給になります。ですので、アメリカ人女性は出産後1週間もしないうちに職場復帰するのが普通です。しかも、そうなると赤ちゃんをデイケアに毎日預けることになるのですが、このデイケアがまたびっくりするほど高額(州によるが最低でも子供一人月1000ドル)!!だから、アメリカでは二人目の子供ができたら夫婦どちらかが仕事を辞めて、一人が通学年齢になるまで子育てに専念するのが通例です。

今、日本では女性の社会進出に伴って、保育園不足が問題になっているようですが、私が考えるに、それは保育園代が格安だからだと思います。女性の平均月給手取りほどの金額を保育園代で毎月持って行かれたらこういう問題にはならないでしょう。それも1−2年のマタニティ休暇後の話でしょうから、アメリカ人女性に比べて、日本人女性は割と恵まれていると思います。

しかも、アメリカ社会では、皆さんご存知のように医療費が恐ろしいほど高いので、出産にも保険によっては数十万円くらい自腹になります。出産後も検診などでかなり高額医療費がかかりますし。おまけに、教育費も日本に比べて破格になります。学校だけでなく、習い事もかなりお金がかかる上、特に、大学は海岸沿いの物価の高い州を除く州では家が余分に1件建てられるほどの学費になります。

上記の理由で、アメリカ人で、特に子供がいる人は既婚・未婚を問わず、真面目に毎日働かざるを得ない、という事です。巷で聞く話、アメリカで子供が一人でもいて大学まで行かせたい場合は死ぬまで働かないといけない(定年退職は諦めろ)と皆言っています。

私は以上のような状況を夫婦でじっくり考えて、子供は作らないことにしました。おまけに、アメリカではまだまだ出産率が移民を中心に増加傾向ですので、少子化の問題もありませんし。

少し話が脱線してしまいましたが、ここで、また、アメリカの職場の話に戻したいと思います。
アメリカで就職・転職を考えておられる日本人は多いと思いますが、一つ重要なことを言いたいと思います。ズバリ、”アメリカ社会は日本社会以上に学歴・コネ社会だ”、ということです。どういうことかと言うと、例えば、日本だと学歴社会ではありますが、就職時に問われるのは大卒かどうかと大学名くらいでしょう。大学での専攻内容と職務内容が合致していない部署に配属になった、と言う話はいくらでもあると思います。アメリカではこれはほぼあり得ません。アメリカでは、大卒かどうかや大学名(全米ランク)が重要視されるのに加えて、大学での専攻内容が応募する職務内容ときっちり合致しないと書類選考でさえ却下になります。つまり門前払いです。最近はMBAを取得している人が増えてきていますが、MBAも社会人経験を経た後、有名な大学でMBAを取得していなければ意味がないと見なされます。よって、何でもかんでも大学・大学院の学歴があれば良いと言うわけでは決してありません。このルール(大学専攻と職務の一致)はH1bビザの申請でも要件に入っていますので、皆さんも大学で何を勉強するかは将来の仕事のことまで延長してよく考えて決めることをお勧めします。ちなみに、大学で文系学部を専攻した人はLiberal Arts系と呼ばれ、近年では”無駄な学歴”と言われています。私は正にこれにすっぽり当てはまっています。だから、転職では未だに苦労します。労働市場に存在するπの数が理数系に比べて圧倒的に少ないからです。それに対して、理数系はSTEM系(Science, Technology, Engineering, Medicine)と言われ、全米で引く手が数多で、グリーンカードや市民権(アメリカ人)でこの学歴があれば一生仕事に困ることはないでしょう。正に一生安泰ということです。だから、最近の若者はこぞってSTEM系の大学専攻に進んでいますね。

日本では、恐らく、”大学では自分の学びたいことを専攻すれば良い”という考え方でしょうが、アメリカでは”高額の学費払うんだから将来なるべく金持ちになれる専攻を選ばないと無駄”という考え方です。特に、近年は、インドや中国からいくらでもSTEM系の人材がアメリカにこぞって押し寄せているので、余計にこの理論が当てはまります。
逆に言えば、文系の人間はアメリカ社会でかなり肩身の狭い思いをします。

しかし、文系の人間でもチャンスはあります。ズバリ、”コネ”です!コネと言うと、日本社会では”ずるい”とか”裏口”とか言うイメージがありますが、アメリカではコネ(人脈)=ネットワーク力と見なされ、要はコネ力も実力のうちです。そもそも多人種多民族が入り混じった社会で自分に有利なコネを築くには相当な努力と行動力が必要です。また、強力なコネを手に入れるには、自分のプライドを押し殺して、相手をヨイショする能力やスキルも必要になります。だから皆が皆、コネを掴められるわけではありません。
これはアメリカで複数の企業を渡り歩いた経験から実感したのですが、アメリカ社会で上へのし上がるには、この”コネ力”が一番重要です。もちろん、それなりの実力・学歴は最低条件として必要であるには違いないですが、この”コネ力”に勝るものはありません。コネ力が10で実力が5レベルの人と、コネ力が5で実力が10レベルの人がいたとすると、前者が勝つと私は思います。特に、米国企業で働いていた時にこれを目の当たりにしました。誰か知り合いや友達がその会社の上層部に就くと、その人のコネに繋がった人がぞろぞろと芋づる方式のように社外から引き抜きされて入ってくるのです。社内でももちろん引き抜きはありますが、社外からの異動の方が多いですね、私の経験では。反対に、そのような上層部の人が会社を去るとそのコネに繋がった人も去ってゆく、と言うね。コネ人脈の大移動ってなところでしょうか?!

では、”どうやってアメリカ社会でコネ力をつけるか=ネットワークを広げるか”ですが、実はこれは私も今だに苦戦している課題でもあります。なんせ、日本で生まれ育ったので、自分の私利私欲のために尊敬もできないような上の人にお世辞言ったり、ヘコヘコするのに慣れていない=苦手なもので。このため、自分にとってとても尊敬できないような上司(せこいタイプの人間)にはあまり好かれませんでしたね。その端で、相手構わず上の人間に媚びへつらうことを何とも思わない同僚がどんどん依怙贔屓されて出世していくのを見てきました。そうです、米国企業では依怙贔屓は当たり前です。それはそれでその人の人生だから私には関係ないですが、少しそう言う人から学ぶ要素もあります。それは、要するに”コミュニケーション能力”です。同じことを言うにも言い方ひとつで随分と相手の受け取り方や自分に対する感情が違ってくるもので・・・。こう言う人の言い回し(もちろん英語)や表情・仕草をなるべく取り入れるようにしました。ただ、自分を押し殺すのはなしで。もう一つ気づいたのは、こう言う社内で強力なコネを持つ人は、プライベートでも上の人と会って時間を過ごしていることが多い、と言うことです。アメリカでは職場の人とホームパーティをするのは普通ですが、それだけでなく、プライベートで旅行や飲みに行く(飲みニケーション)ということをやっている人が多いですね。恐らく、こういう人はプライベートの時間を犠牲にしてでも上の人と関係づくりをして、上司と部下というより友人関係になっているのです。これをやられては、私は太刀打ちできませんがね。私はプライペートとビジネスはきっちり分けたい方なので。

あと、ネットワークを広げたい人は、教会やコミュニティーやボランティアの集まりに属すると言う手もあります。教会へ行くと、不動産屋や弁護士や自営業者をよく見かけます。彼らにとって、教会は将来の顧客が集まる宝庫だからです。こういうと、宗教を私利私欲に利用していると思われるかもしれませんが、私に言わせてもらえれば、教会(キリストしか知りません)の運営者自体が、信者というメンバーから寄付というメンバーシップ料を徴収して成り立っている”ビジネス”に過ぎないので、持ちつ持たれつではないかと思います。

ということで、アメリカ社会で働くには、実力・学歴もそこそこつけて、あとはコネ力がかなり肝心になるという考えで間違いないと私は思います。

どこかの調査データによると、転職回数が多いのが普通のアメリカ社会ですが、その転職の大半はコネによるもの(知り合いからの引き抜き)らしいです。しかも、アメリカでの転職は、前職より次職の給料の方が高いのが普通ですから(そうでないとアメリカ人は転職しない)、コネのおかげで収入もアップというわけです。

いや〜、本当にコネ力のある人は羨ましいですね。

今回はここまでにします。
ご覧いただきありがとうございました。

コロナワクチン~モデルナ二回目接種でワクチン接種を完了しました!

 こんにちは! 先週末に遂に2回目のコロナワクチンを接種して、今回のワクチン接種を完了しました。 結論から言うと、やはり、2回目後の方が副反応がきつかったですね。 この時の動画 をYoutubeで挙げていますので、是非ご覧ください。 ただ、そのキツイ副反応も接種後24~36時間で...